品質管理

統計学者フィッシャーの三原則!実験計画法や因子かんたん解説

フィッシャーの三原則

統計学者フィッシャーの三原則

イギリスの統計学者ロナルド・フィッシャーは、実験の精度を高めるために次の三原則を提案しています。

フィッシャー三原則

  1. 反復の原則:観測誤差の評価
  2. 無作為の原則:系統誤差の偶然誤差への転化
  3. 局所管理の原則

1.反復の原則:観測誤差の評価

実験を行う時、1回だけの観測では

「その観測値が真の値からどれくらい離れて観測されたのか」

という実験の誤差を評価するのはむずかしいですよね。

ですが2回以上観測すれば、観測値のバラツキの度合いを見ることによって、

「真の値からの変動がどれくらいあるのか」

という実験の誤差の大きさを評価できます。

このように、同じ条件での観測値が多ければ多いほど、観測値が得られている状況を知ることができるというわけです。

 

2.無作為の原則:系統誤差の偶然誤差への転化

実験の順序によって生じる”なれ”(系統誤差)などを除去するために、実験結果が一定方向にかたよらないよう、実験の順序を無作為に定める、というものです。

系統誤差とは、測定結果にかたよりを与える原因によって生じる誤差のこと!(JIS Z 8103)

 

3.局所管理の原則

水準間の比較を精度よく行うために「実験の場」をまとめ、その中で比較したいものを完全無作為な順序で行うというものです。

同じような「実験の場」をブロックといいます。

 

統計学者フィッシャーが考案した実験計画法や因子とは?

実験

実験計画法とは、実験を効率的に行うため、イギリスの統計学者ロナルド・フィッシャーが農業試験のために考案したのが最初と言われています。

たとえば工場で、ある製品の機械的性質の向上を目的とする品質実験を行うことを考えてみましょう。

このとき技術者は、これまで培ってきた技術や経験、知識などから要因を

  • 原材料の種類
  • 作業条件(処理温度)
  • 作業条件(処理スピード)

などに絞り込み、それぞれの品質実験で比較したい要因(因子)を絞り込む方法です。

なお、各因子はいくつかの条件から成り立っているものとし、具体例は以下のとおり。

因子の具体例

原材料の種類:A₁、A₂

作業条件(処理温度):30℃、40℃、50℃

作業条件(処理スピード):2cm/秒、3cm/秒

さらに上記のような各因子のもつ条件を「水準」と言いますので覚えておきましょう。

また、品質実験の種類は以下のとおりです。

品質実験 概要
一元配置実験

(一元配置法)

原材料の種類など、1つの因子のみを取り上げて実験すること
二元配置実験

(二元配置法)

原材料の種類や作業条件(処理温度)のように、2つの因子を重要だと考え行う実験のこと
多元配置実験 多くの因子を取り上げて行う実験のこと

 

一方で、上記の文章でもたくさん出てきた【因子】についてもさらにくわしく確認しておきましょう。

品質実験で比較したい要因である因子には、以下の3種類があります。

因子の種類

  1. 制御因子
  2. 標示因子
  3. 誤差因子

制御因子

制御因子は、生産の場において、水準の指定も選択も可能なもので、最適な水準をえらぶ目的で取り上げる因子を指します。

 

標示因子

標示因子は、その最適条件を知ることは直接的な目的ではないけれども、この因子の水準が異なると、他の(制御)因子の最適条件が変わる恐れがある(交互作用がある)ために実験に取り上げる因子です。

実験の場では制御されなければなりませんが、適用の場では必ずしも制御できるわけではありませんのでご注意ください。

 

誤差因子

誤差因子は、生産の場において、実験結果がばらつく原因となっている条件で、その条件をコントロールできない因子をいいます。

 

以上です。

【関連記事】※さらにくわしくは「品質管理」カテゴリーをご覧ください。

ありがとうございました。

 

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