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はめあい公差とは?JIS基準含め機械エンジニアがやさしく解説

はめあい公差(JIS基準)
はめあい公差って…何?

こんな機械エンジニアのたまご(初心者)たちのため!

機械エンジニアの僕が、はめあい公差の定義やh7などの記号についてくわしく解説していきます。

それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次からどうぞ 🙂

 

はめあい公差とは?機械エンジニアの基礎知識

軸

まず【はめあい】とは、穴と軸がはまりあう関係のことです。

機械部品では軸受と軸などの関係が当てはまりますね。

そしてこの【はめあい】では穴と軸がペアになるので、穴径公差と軸公差の2つを同時に決定することが特徴です。

一方、【公差】とは許容誤差の最大と最小の差とおぼえておけばよいでしょう。

つ・ま・り!

「はめあい公差は穴と軸をはめあうときの基準値(公差)」ということ!

JISでも穴の大きさや軸のサイズによって公差の基準を定めています。

 

はめあいの種類と方式について

つづいては、はめあいの種類と方式について確認していきましょう。

はめあいの種類

はめあいは大きく分けて3種類に分けられます。

  1. すきまばめ
  2. 中間ばめ
  3. しまりばめ
すきまばめ 中間ばめ しまりばめ(圧入)
穴≧軸(穴より軸が小さい)

穴より軸が小さいため、「すきま」がある状態

穴≒軸(穴と同等)

すきまとしまりばめの中間くらいの状態

穴と軸がぴったりに近い

穴≦軸(穴より軸が大きい)

穴よりも軸が大きく、圧入などで打ち込む

穴と軸の差を「しめしろ」という。

はめあい公差を決めるときの手順は以下のとおり。

  1. モノの仕様から穴と軸をはめ合わせた際に許されるガタツキを想定し、スキマ量を決める
  2. スキマ量から逆算して穴径の公差と軸径の公差を決定する

そして、はめあいのスキマ量は穴と軸の双方の公差によって決まります。

すなわち、加工後の穴と軸をはめ合わせたときの最小スキマは、穴が公差内で一番小さく出来上がり(最小許容寸法)、軸が公差内で一番大きく出来上がった(最大許容寸法)組み合わせとなります。

また、しまりばめ(圧入)の場合には、穴の最大許容寸法と軸の最小許容寸法の差を【最小しめしろ】とよび、穴の最小許容寸法と軸の最大許容寸法の差を【最大しめしろ】とよび、すきまばめも同じ考え方です。

最小すきま 穴の下の許容サイズと軸の上の許容サイズとの差 すきまばめ
最大すきま 穴の上の許容サイズと軸の下の許容サイズとの差
最小しめしろ 穴の最大許容寸法と軸の最小許容寸法の差 しまりばめ
最大しめしろ 穴の最小許容寸法と軸の最大許容寸法の差

 

はめあいの方式

はめあいを工作するときには、穴か軸のいずれか一方を基準としてつくりますが、JISでは穴を基準にする方式と軸を基準にする方式の2種類が存在します。

穴基準はめあい方式 軸基準はめあい方式
公差域の記号⇒大文字+公差等級の数字

例)H7

公差域の記号⇒小文字+公差等級の数字

例)g8、h7

【穴を表す記号】

すきまばめ:B,C,E,F,G,H

中間ばめ:JS,K,M,N,P

しまりばめ:R,S,T,U,X

【軸を表す記号】

すきまばめ:b,c,e,f,g,h

中間ばめ:js,k,m,n

しまりばめ:p,r,s,t,u,x

はめあい公差のルールとしては2つ。

1つは公差等級です。

公差等級とは上限値と下限値の差であり、許容範囲を数字の1~18までの等級に分けています。

そしてもうひとつは公差域。

狙い寸法に対してどの位置に公差等級をもってくるかを示したものです。

穴の場合はA~ZCまで大文字で28種類あり、Aが狙い値よりも最もプラス側で順にZCにマイナスよりに位置します。

そして軸の場合もa~zcまでの小文字で28種類あり、aが狙い値より最もマイナスで順にプラス寄りに位置します。

大文字英数字が穴、小文字英数字が軸を表しているよ!

 

 

はめあい公差★製品の精粗による公差の大小(基本サイズ公差等級)

規格では、製品の精粗による公差の大小によって1級、2級、3級…、18級に分けており、これを【基本サイズ公差等級】と呼びます。

そして適用範囲は以下のとおりです。

1級が一番精度が高く、2級、3級となるにつれ粗くなっていきます。

基本サイズ公差等級 種類
1級~4級(精) ゲージ類
5級~10級(中間) はめあわせる部分
11級~18級(粗) はめあわされない部分

つまり上記の表のとおり、【はめあい】という観点においては5級~10級の公差等級を確認すればOK!

図示サイズによって数値が変わり、JISによる基準は以下の表をご覧ください。(単位:㎛=0.001mm)

基本サイズ公差等級 IT5

5級

IT6

6級

IT7

7級

IT8

8級

IT9

9級

IT10

10級

図示サイズ(mm)

を超え

図示サイズ(mm)

以下

3 4 6 10 14 25 40
3 6 5 8 12 18 30 48
6 10 6 9 15 22 36 58
10 18 8 11 18 27 43 70
18 30 9 13 21 33 52 84
30 50 11 16 25 39 62 100
50 80 13 19 30 46 74 120
80 120 15 22 35 54 87 140
120 180 18 25 40 63 100 160
180 250 20 29 46 72 115 185
250 315 23 32 52 81 130 210
315 400 25 36 57 89 140 230
400 500 27 40 63 97 155 250

 

JIS★穴の許容差(IT7)と軸の許容差(IT6)

歯車

はめあいについて、なんとなくイメージが湧いたでしょうか?

穴と軸のサイズによって公差を定め、JIS基準を参考に製作していきましょう。

 

そして参考に、穴基準はめあい方式と軸基準はめあい方式において多く用いられる組み合わせを以下の表にまとめました。

穴基準

はめあい

方式

はめあいの種類 基準穴 軸の公差クラス
すきまばめ H6 g5、h5、f6、g6、h6
H7 f6、g6、h6、e7、f7、h7
H8 f7、h7、e8、f8、h8、d9、e9
H9 d8、e8、h8、c9、d9、e9、h9
H10 b9、c9、d9
中間ばめ H6 js5、k5、m5、 js6、k6、m6
H7 js6、k6、m6、n6、js7
H8
H9
H10
しまりばめ H6 n6、p6
H7 p6、r6、s6、t6、u6、x6
H8
H9
H10
 

軸基準

はめあい

方式

はめあいの種類 基準軸 穴の公差クラス
すきまばめ h5 H6
h6 F6、G6、H6、F7、G7、H7
h7 E7、F7、H7、F8、H8
h8 D8、E8、F8、H8、D9、E9、H9
h9 D8、E8、H8、C9、D9、E9、H9、B10、C10、D10
中間ばめ h5 JS6、K6、M6
h6 JS6、K6、M6、N6、JS7、K7、M7、N7
h7
h8
h9
しまりばめ h5 N6、P6
h6 P6、P7、R7、S7、T7、U7、X7
h7
h8
h9

これらのはめあいは、寸法の区分によって例外を生じますのでご注意ください。

 

 

一方で例として、公差等級が7級(IT7)の場合の基準は以下のとおりです。

JIS基準における穴の許容差(一部抜粋)となりますので参考にしてください。(単位:㎛=0.001mm)

基本サイズ公差等級 穴の公差クラス
図示サイズ(mm)

を超え

図示サイズ(mm)

以下

 E7 F7 G7 H7 JS7 K7 M7
3 +24

+14

+16

+6

+12

+2

+10

0

±5 +0

-10

-2

-12

3 6 +32

+20

+22

+10

+16

+4

+12

0

±6 +3

-9

0

-12

6 10 +40

+25

+28

+13

+20

+5

+15

0

±7.5 +5

-10

0

-15

10 14 +50

+32

+34

+16

+24

+6

+18

0

±9 +6

-12

0

-18

14 18
18 24 +61

+40

+41

+20

+28

+7

+21

0

±10.5 +6

-15

0

-21

24 30
30 40 +75

+50

+50

+25

+34

+9

+25

0

±12.5 +7

-18

0

-25

40 50

つづき⇒

基本サイズ公差等級 穴の公差クラス
図示サイズ(mm)

を超え

図示サイズ(mm)

以下

P7 R7  S7 T7 U7 X7
3 -6

-16

-10

-20

-14

-24

-18

-28

-20

-30

3 6 -8

-20

-11

-23

-15

-27

-19

-31

-24

-36

6 10 -9

-24

-13

-28

-17

-32

-22

-37

-28

-43

10 14 -11

-29

-16

-34

-21

-39

-26

-44

-33

-51

14 18 -38

-56

18 24 -14

-35

-20

-41

-27

-48

-33

-54

-46

-67

24 30 -33

-54

-40

-61

-56

-77

30 40 -17

-42

-25

-50

-34

-59

-39

-64

-51

-76

-71

-96

40 50 -45

-70

-61

-86

-88

-113

【穴の許容差一部抜粋表(IT7の場合)】

 

 

以上です。

機械関連では以下の記事もぜひご覧ください。

ありがとうございました。

 

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