信頼性工学は、電気や機械分野ではとくに重要な考え方です。
一般的なエンジニアにとっての信頼性とは、単純に自分が設計した製品が所定の期間まで故障しないことと言えます。
設計プロセスにおいて設計者は、機能設計と信頼性設計の両面から製品を設計し、設計検証や妥当性確認(信頼性試験)で検証することになります。
とくに妥当性確認(信頼性試験)の主なツールとしては「設計FMEA」と「信頼性解析」です。
【関連記事】
FMEAとは故障モード影響解析!FTAとの違いもサクッと解説
そんなわけでこの記事は、信頼性工学における
【信頼性データのまとめ方と解析】についてかんたんに解説しています。
例題もありますのでぜひチャレンジしてみてください。
目次
信頼性データの分類とまとめ方
寿命を対象にすることが多い信頼性では、すべてのデータを終了するまで観測し続けることは難しいです。
このような信頼性データの特徴を【数と時間の壁】と呼び、特徴は以下のとおりです。
【数と時間の壁】の特徴
- データが寿命データで1つのデータを得るのに費用がかかるため、サンプルサイズは通常きわめて小さい
- データを1つ測定するのに時間がかかることが多い
また、データを分類すると以下の表のようになります。
打ち切りのないデータ
使用開始から故障に至るまでの時間が観測されたもの |
完全データ
打ち切りのない故障データのみからなるもの |
|
打ち切りデータ
使用開始から故障まで至らず中途で打ち切られたもの
|
定時打ち切りデータ
事前に決められた時間に達した時に観測を打ち切る |
不完全データ
打ち切りデータを含むもの
|
定数打ち切りデータ
サンプル数が事前に決められた数に達したときに観測を打ち切る |
||
ランダム打ち切りデータ
サンプルの観測をランダムに打ち切る |
さらに重要なのは、自分が設計した製品の信頼性がどのようにすれば設計審査において定量的かつ客観的に示せるかであり、その範囲や解析方法はこんな感じです。
信頼性データ解析方法
- 完全データおよび定時(定数)打ち切りデータの解析(ワイブルチャートによるグラフィック解析)
- 不完全データの解析(故障数0個を含む)
- 所定の信頼性特性値を証明するための試験や計算(B10、MTTFなど)
- ワイブル分布の計数1回抜き取りLTFR(Lot ToleranceFailure Rate)方式
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信頼性データの解析(例題)
それではさっそくですが、例題を解いてみましょう。
「定数打ち切りデータ」のときのデータ解析(故障率、MTBF)の行い方についてです。
【例題】
あるシステムの寿命は指数分布に従います。
このシステムの信頼度を得るために、10アイテムについて寿命試験を実施しました。
7個が故障した時点で試験を打ち切り、次のデータを得ました。
【10、20、30、40、60、80、120 残り3個は120時間で打ち切り】
このデータからMTBFならびに故障率の点推定値を求めなさい。
【解答】
まずは総稼働時間(T)を求めます。
総稼働時間(T)=(故障した分)+(故障しなかった分)
=(10+20+30+40+60+80+120)+(120×3)=720時間
MTBF=総稼働時間/総故障件数=720/7=102.85…
≒103(時間/件)
故障率の点推定値は、
λ=1/MTBF=1/103=0.0097…
≒0.0097(件/時間)
解答 MTBF=103(時間/件)λ=0.0097(件/時間)
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以上です。
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ありがとうございました。