品質管理

MSAとは?測定における誤差を定量的に評価する方法

MSA

品質や工程管理に必須の考え方である【MSA】

定義や評価方法についてサクッと確認していきましょう。

 

MSAとは測定システム解析

測定

MSAとはMeasurement System Analysisの略で、【測定システム解析】と呼ばれます。

つくられた製品の測定における誤差やバラツキを定量的に評価する方法です。

MSAは工程能力あるいは工程性能評価のほか、合否判定基準の設定や各種測定データの誤差評価に使われています。

 

また測定データの質は、測定システムから得られる複数の測定値の統計的特性により決まります。

そして品質に関するさまざまな判断は、合否判定をはじめ工程条件の良し悪しなど、現場から得られるデータを基にしています。

つまり、そのデータに含まれる「測定による誤差」をさまざまな視点から評価しようという考えから、MSA(測定システム解析)という手法が誕生したわけです。

 

MSAの品質に関する判断

そもそも、なぜMSAという評価方法が必要かというと、校正だけでは誤差の評価は不十分だからです。

測定器などの測定値が正しいと証明するためには、以下の5つの考え方に基づいています。

品質の指標

  1. かたより
  2. 安定性
  3. 直線性
  4. くり返し性
  5. 再現性

これら上記の指標を検証し合格すれば、正しい測定ができているという証明になります。

またこれらの指標をグループ分けすると以下のとおり。

校正 かたより
安定性
直線性
GageR&R

MSAの考え方そのもの

くり返し性
再現性

実際にデータをとって解析してみると、くり返し測定による誤差や測定者の違いによる誤差が、製造工程の変動による誤差と比べ、大きな割合を占めていることがあります。

つまり校正だけでは、誤差の原因を突き止められない可能性があるということが分かりますね。

だからくり返し性や再現性と言ったMSAの考え方も取り入れられるようになったというわけ。

MSAは、誤差の原因を測定器だけでなく、測定する対象物や測定者、測定方法など、これらすべてのバラツキを含め測定に関わる全体を【測定システム】と捉えて考えていく概念なのです。

一方で、この測定システムによる誤差が、工程能力指数を表す指数(工程能力)にも大きな影響を与えることがあるので注意が必要です。

【関連記事】

【簡単】工程能力指数★計算やcpkを解説!3分でわかる品質管理

 

IATF16949におけるMSAの分析方法

修理(故障)

IATF16949では、適切な統計的手法を活用して測定システムを分析することを要求しています。

そして関連マニュアル『MSA(Measurement Systems Analysis)』において具体的な分析方法や合格基準が示されています。

IATFとはInternational Automotive Task Forceの略で、「国際自動車産業特別委員会」の意味!

IATF16949は、自動車産業に特化した品質マネジメントシステムに関する国際規格で、世界中の自動車メーカーが、自動車部品の調達基準として採用しているよ

分析方法は以下の表をご覧ください。

対象 意味(事例) 内容
安定性 偏りの時間経過をみること 安定性は測定値の経時的なばらつきを意味

安定性の評価は標準サンプルを一定間隔で測定し、その測定値を管理図にプロットすることにより行う

くり返し性 製品と測定結果のズレ くり返し性は同一のパーツを同一の測定者が数回測定したときのばらつきを意味

くり返し性の評価はゲージR&R分析により行う

再現性 測定者のバラツキを見ること 再現性は測定者間の測定値のばらつきを意味

再現性の評価はゲージR&R分析により行う

かたより性 基準値からのズレをみること かたよりは基準値(真の値)からのずれを意味

%くり返し性に問題がなく、かつ偏りの信頼区間内に0が含まれていれば、かたよりに関しては合格

直線性 測定範囲内での偏りをみること 直線性は測定範囲内でのかたよりの推移を意味

直線性の評価は各基準値(真の値)に対するかたよりの値をプロットした直線性プロットにより行う

%くり返し性に問題がなく、回帰直線の信頼区間にかたより=0の線が含まれていれば、直線性に関しては合格

Go/Out判定ゲージ(Attribute Gage) 測定器の使用・確認 良・不良のみを判定するような測定器に対する分析方法

(参考_IATF16949)

 

以上です。

また品質に関連する以下の記事もぜひご覧ください。

ありがとうございました。

 

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