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真直度の測定方法や記号について|幾何公差の基礎知識

真直度の測定

真直度とは、図面において対象の線がどれだけ【まっすぐ】であるべきかを指示する公差です。

機械図面などにおける幾何公差のひとつですね。

今回は真直度の測定方法や記号、許容値などについて解説していきます。

それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次からどうぞ 😎

 

真直度の測定方法

真直度の測定は主に以下の方法が挙げられます。

真直度の測定方法

  1. ハイトゲージ
  2. ダイヤルゲージ
  3. 三次元測定機

 

ハイトゲージ

ハイトゲージとは、定盤の上で工作物の高さを測定する道具です。

基本的な構造は、スケールを垂直に立て、これにバー二ヤ等と呼ばれる針を取り付けたものであり、バーニヤの目盛りの読み方はノギスと同じです。

イメージは以下のとおり 🙂 (イメージ画像参照)

【イメージ画像★ハイトゲージ】

ハイトゲージの種類として、メモリ部分がダイヤル付きとなっているものやデジタル式のものがあります。

 

またハイトゲージで測定するときは、対象物がズレないように左右の高さを合わせて小型のジャッキで固定し、対象物またはハイトゲージをまっすぐに移動させて測定します。

最大値と最小値の差(ΔH)が真直度になります。

ポイント

真直度【ー】=最大値と最小値の差(ΔH)

 

一方でハイトゲージのデメリットとしては、一般にハイトゲージは三次元測定機に比べて精度が低いこと。

さらにハイトゲージの測定部を対象物に当てる強さによって測定値が変化するなど、測定結果が不安定になる恐れがあります。

また、水平に設置できない対象物の場合はハイトゲージを移動させることができないため、計測がむずかしいまたはできない可能性があります。

 

ダイヤルゲージによる測定

 

【イメージ画像★ダイヤルゲージ】

ダイヤルゲージとは、スタンドや各種精密機器に取り付けて使用する測定器です。

ノギスやマイクロメーターのように単体で使用できませんが、ダイヤルゲージと対象物の設置方法を工夫することで、寸法の変化だけでなく平面度や平行度・傾斜度・同軸度・同芯度といった幾何公差を測定することができます。

さらにハイトゲージやシリンダーゲージといった他の測定器と組み合わせることで、さまざまな箇所の寸法変化が測定可能です。

また、寸法精度を確認する必要がある製造現場では使用例が多く、スピンドルの直線運動または円孤運動を歯車機構などで機械的に拡大し、その動きを短針と長針で読み取ります。

直接測定と比較測定ができますが、測定長が約1mm~10mmと短いため、多くは比較測定に用いられます。

 

そしてダイヤルゲージには、「スピンドル式」と「てこ式」があり、一般にはスピンドル式が多く用いられます。

一方、てこ式は特に精度が求められる測定に利用されます。

スピンドル式 スピンドル式ダイヤルゲージは、スピンドルの上下動を内部のラックギアとピニオンギアでダイヤルに伝え変化を拡大し、針を回転させて変位を表示させる

スピンドル式はストロークが長くできるので、旋盤やフライス盤を使った金属加工など、寸法変化の大きな対象物の測定に向いている

また測定工具の表示部分として活用できるため、シリンダーゲージなど各種精密機器に取り付けて利用されることもある

てこ式 「テストインジケータ」とも呼ばれる

てこの原理を使って測定し、スピンドルの角度を内部の大小の歯数で針に伝え、寸法変化を表示する

スピンドルの部分が細く、スピンドル式ダイヤルゲージでは測れない狭い場所の測定が可能

てこの動きを読み取る構造であるため、測定長が短いという欠点がありますが、スピンドル式に比べて分解能が高いという長所がある

回転軸の振れや工作機械の精度検査など、高い精度の比較測定に利用されることが一般的

 

 

三次元測定機

【三次元測定機イメージ図】

三次元測定機(イメージ図解)

三次元測定機は、部品の形状をデータ上で立体的にとらえて様々な測定をすることが可能です。

JIS B 7440では【互いに直行する案内と、案内の移動量を求めるスケール及びプローブをもち、それぞれの移動量からプローブの三次元座標値を求めることができる機械】と定義されています。

三次元測定機による測定点の情報は、三次元の座標(X、Y、Z)として記録され、その座標情報を組み合わせることにより、二次元または三次元の幾何学要素を作成します。

寸法や公差などが測定可能です。

二次元の幾何学要素 線、面、円、点
三次元の幾何学要素 球、円筒、円錐、直方形

そして真直度はスタイラスを対象物に軽く当てるだけで測定でき、さらに測定圧による誤差はほとんど発生せず、安定した測定結果を得ることができます。

また、スタイラスはさまざまな角度から当てることができるので、ハイトゲージ等では測定が困難な水平に固定できない対象物でも、正確に測定することができます。

測定ポイントを増やすと、測定範囲が広い場合でも高精度かつ安定した測定が可能です。

一方で三次元測定機は以下のとおりです。

測定器のタイプ、測定方法などにより呼称や分類方法が異なりますので注意してください。

設置方法による分類 据置型
ポータブルタイプ
外観による分類 多関節アーム型
門型
測定方法による分類 レーザートラッカー
レイアウトマシン
接触型
非接触型

 

真直度の記号や表記

幾何公差名 記号 意味 データムの有無
真直度 真直度(図面記号機械加工) 【真っ直ぐさ】 を指定するもの

平面ではなく直線に適用され、中心線や母線などの曲がりを表す

長尺物などの反りの許容などに利用される

真直度の記号は【ー】直線です。

さらにデータムはなく単独記号であり、他の図との関連や基準等はありません。

また、表記は以下のとおりです。

真直度(三角形状)Φがつく場合とつかない場合があります。

Φの直径記号がついた場合には、上記の図では公差範囲Φ0.2mmの円筒内に収まることが求められています。

真直度(三角形状)

一方でΦがない場合は、下図では公差範囲0.1mmのスキマ(二平面内)に収めることを要求しています。

真直度(円柱)

 

真直度の普通公差における許容値

以下の表は、真直度(および平面度)の普通公差を示します。(平面度とは?記号や測定方法など図解でわかりやすく解説

この表から公差を選ぶときには、真直度は「該当する線の長さ】を基準としてください。

(単位:mm)

基本サイズ

公差等級

呼び長さの区分
10以下 10を超え100以下 30を超え100以下 100を超え300以下 300を超え1000以下 1000を超え3000以下
直角度公差および平面度公差
H(精) 0.02 0.05 0.1 0.2 0.3 0.4
K(中) 0.05 0.1 0.2 0.4 0.6 0.8
L(粗) 0.1 0.2 0.4 0.8 1.2 1.6

JISの寸法公差(普通公差)許容差一覧表かんたん解説

 

以上です。

ありがとうございました。

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