品質管理

管理図の群とは?群分けと選定について種類ごとにわかりやすく解説

管理図の群および選定

管理図の群(ぐん)とは、日時やロットごとに定めたサンプルデータのかたまりを指します。

nは群の大きさ(サンプル数)です。

たとえば、群番号1(1番目のサンプル群)で、製品の直径を測った値が5あれば、n=5となります。

基本的に、製造工程などの品質管理においては、サンプルデータの数値は99.7%が、標準偏差sの±3倍(±3σ)内に収束します。

 

管理図の群や群分けとは?選定について種類ごとにわかりやすく解説

管理図には、管理する品質特性によってさまざまな種類があり、選定方法があります。

データの種類によって作成すべき管理図が異なるのは、データの種類によって分布(データのばらつき方)が異なるからです。

分布ごとに分けると以下の表のとおり 🙂

正規分布 計量値の管理図
二項分布 p管理図、np管理図
ポアソン分布 u管理図、c管理図

 

そして管理図選定のフローチャート(流れ図)をぜひやってみてください。(左⇒右)

計量値

群の大きさnは1か、複数か?

⇒n=1 X-Rs管理図
⇒nは小さいか(約10未満) ⇒各群の中心位置は平均値か、メディアンか? ⇒平均値 X(バー)-R管理図
⇒Me(メディアン) Me-R管理図
⇒nは大きいか(約10以上) ⇒平均値 X(バー)-s管理図
計数値

不適合品数か、不適合数か?

⇒不適合品数 ⇒群の大きさnは群ごとに一定か? ⇒一定 np管理図
⇒一定でない p管理図
⇒不適合数 ⇒群の大きさnは群ごとに一定か? ⇒一定 c管理図
⇒一定でない u管理図

それぞれ群分けされ、適切な管理図が確定します。

一方、管理図の管理限界線(UCLなど)についても併せてチェックしておくとよいでしょう。

計量値における管理図の群分け

それぞれの管理図で確認してきましょう。

X-Rs管理図(X-移動範囲管理図)の群分け

X-Rs管理図

データが1日に1個しかとれない、ロットから1つのデータしかとれないなど、データをとる数が限定されている場合に、得られたデータをそのまま用いるのがX-移動範囲(RまたはRs)管理図です。

移動範囲とは、群の大きさnが2の場合、互いにとなり合った2つのデータの差のこと。

上にX管理図、下に移動範囲管理図(RまたはRs)として並べて作成します。

 

X(バー)-R管理図の群分け

XバーR管理図

平均値と範囲の管理図で、特性値の時系列変化を見るために、いくつかサンプルをとり、その平均値を範囲を計算し、平均値を時系列にプロットして変化を見るのがXバー管理図です。

そして範囲を時系列にプロットして変化を見るのがR管理図。

通常これを組み合わせて、上にXバー管理図、下にR管理図として並べて作成します。

群の大きさnは、n=2~6くらいまでが望ましいです。

 

Me-R管理図の群分け

Me-R管理図

平均値の代わりにメディアンを計算してグラフ化するのがMe-R管理図です。

平均値よりメディアンのほうが簡便に求められるので、現場向きと言えますが、電卓さえあれば平均値もカンタンに求められるので通常はXバーR管理図が用いられます。

 

X(バー)-s管理図(平均値と標準偏差の管理図)の群分け

Xバーs管理図

XバーR管理図の範囲Rの代わりに標準偏差sを使用する管理図です。

Rよりは計算がむずかしくなりますが、計算機を用いれば容易に計算できます。

群の大きさnが10以上になると、Rでは精度が悪くなるので、sを用いたほうが良いです。

 

計数値における管理図

つづいては計数値における管理図です。

np管理図の群分け

np管理図

群の大きさが一定のときに使います。

生産個数や検査個数が一定の場合に、その群の不適合品数を打点していく管理図です。

 

p管理図の群分け

p管理図

群の大きさが一定でないときに使います。

不適合品数を生産個数や検査個数で割った、不適合品率を群ごとに求め、それを打点していく管理図です。

 

c管理図の群分け

c管理図

不適合数において、群の大きさが一定のときに使います。

検査するサンプルの長さや面積が一定のときに、その群の不適合数を数えて打点していく管理図です。

 

u管理図の群分け

u管理図

不適合数において、群の大きさが一定でないときに使います。

不適合数を一定の長さや面積で割った単位当たりの不適合数を群ごとに求め、それを打点していく管理図です。

 

管理図の群とは?管理図の群分けと選定まとめ

ポイント

管理図の群(ぐん)とは、日時やロットごとに定めたサンプルデータのかたまりを指す

nは群の大きさ(サンプル数)

管理図の種類で群分けの考え方などが違うので要チェック!

計量値

群の大きさnは1か、複数か?

⇒n=1 X-Rs管理図
⇒nは小さいか(約10未満) ⇒各群の中心位置は平均値か、メディアンか? ⇒平均値 X(バー)-R管理図
⇒Me(メディアン) Me-R管理図
⇒nは大きいか(約10以上) ⇒平均値 X(バー)-s管理図
計数値

不適合品数か、不適合数か?

⇒不適合品数 ⇒群の大きさnは群ごとに一定か? ⇒一定 np管理図
⇒一定でない p管理図
⇒不適合数 ⇒群の大きさnは群ごとに一定か? ⇒一定 c管理図
⇒一定でない u管理図

以上です。

ありがとうございました。

 

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