機械分野では、流体力学として【ベルヌーイの定理】を勉強します。
基本的な考え方や法則について、例題を解きながらわかりやすく解説していきます。
それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次からどうぞ 🙂
目次
ベルヌーイの定理をわかりやすく!基本的な考え方
ベルヌーイの定理とは、単位時間内に流体では圧力が仕事をすることにより圧力エネルギーが加わることを示しています。
また、理想流体の定常流れにおいて、流線上でエネルギーが保存されることを示した定理とも言えるでしょう。
そして質量保存則と同じように、一般性のある法則として【エネルギー保存則】があります。
粘性や摩擦がなく、圧縮を考慮しない【理想気体】の定常流で、外力として重力だけが作用する場合に流線に沿って成り立つ【エネルギー保存則】が【ベルヌーイの定理】です。
一方、上記のような流管を考えるとき、AとBの面において、mを流体の質量流量(kg/s)、それぞれの位置水頭をz₁、z₂、圧力水頭p₁、p₂、速度水頭v₁、v₂、流体の密度をρとすると、ベルヌーイの定理は以下の式で表されます。
mgz₁+mp₁/ρ+(1/2)mv²₁=mgz₂+mp₂/ρ+(1/2)mv²₂=mgz+mp/ρ+1/2mv²=一定…①
そして、それぞれの式が表しているものは以下のとおりです。
mgz₁+mp₁/ρ+(1/2)mv²₁ | 位置エネルギー |
mgz₂+mp₂/ρ+(1/2)mv²₂ | 圧力エネルギー |
mgz+mp/ρ+1/2mv² | 運動エネルギー |
また、①の式の各辺をmgで割ると、
z+p/ρg+v²/2g=一定…②
と表せます。
②の式において、zを位置水頭(位置ヘッド)、p/ρgを圧力水頭(圧力ヘッド)、v²/2gを速度水頭(速度ヘッド)とよび、その総和が全水頭(トータルヘッド)となります。

①、②の式どちらも【ベルヌーイの定理】ですので覚えておきましょう。
ベルヌーイの定理をわかりやすく!例題でさらに理解を深めよう
それではココで、ベルヌーイの定理に関する例題を解いてみましょう。
ぜひチャレンジしてみてください。
【例題】
上記の図のような傾斜のついた拡大管を水が流量Q=1200cm³/sで流れています。
点1と点2での管径は、それぞれd₁=50mm、d₂=75mm、基準面からの高さは点1がz₁=25cm、点2がz₂=40cmでした。
流れる水の密度ρ=1000kg/m³、重力加速度g=9.81m/s²として、以下の問いに答えなさい。
(1)①および②の流速v₁、v₂を求めなさい。
(2)①での圧力p₁をp₁=5000Paとして、②での圧力p₂を求めなさい。
【解答】
(1)①と②での質量は保存され、非圧縮性流体で密度は一定です。
よって連続の式より、
Q=A₁v₁=A₂v₂=1200cm³/s=1.2×10⁻³m³/s
断面積A₁とA₂は、問題の数値を使って以下のように求めることができます。
A₁=πd²₁/4=π×(5.0×10⁻²)²/4=1.96×10⁻³㎡
A₂=πd²₂/4=π×(7.5×10⁻²)²/4=4.42×10⁻³㎡
また上記の式より、v₁とv₂も求められます。
v₁=Q/A₁=1.2×10⁻³/1.96×10⁻³=0.612m/s
v₂=Q/A₂=1.2×10⁻³/4.42×10⁻³=0.271m/s
解答:v₁=0.612m/s、v₂=0.271m/s
(2)①と②の面でベルヌーイの定理を立てると、
z₁+(p₁/ρg)+v₁²/2g=z₂+(p₂/ρg)+v₂²/2g
問題で与えられている数値と、(1)で求めた数値を当てはめると、
0.25+5000/(1000×9.81)+(0.612)²/(2×9.81)=0.4+p₂/(1000×9.81)+(0.271)²/(2×9.81)
となります。
よってp₂について解いてみると、
p₂=5000-0.15×1000×9.81+{(0.612)²-(0.271)²}×500
=5000-1470+150
=3680Pa
解答:p₂=3680Pa
以上です。
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ありがとうございました。