応力ひずみ線図とは、応力(縦軸)とひずみ(横軸)との関係を表したものです。
とくに鋼材などで使用される関係式ですが、材質によって曲線の形は変わります。
曲線および線図それぞれの用語や意味を図解でまとめましたのでぜひご確認ください。
それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次からどうぞ!
目次
応力ひずみ線図について!名称や意味を材料別に図解で解説
代表的な応力ひずみ線図(鋼材)は以下の図解をご覧ください。
各名称と意味は以下の表のとおり。
A | 比例限度 | 応力σとひずみεが比例関係を示す限度のこと。
比例限または比例限界とも呼ばれる 比例限度内での鋼材のヤング係数E(σ=Eεで表される比例定数)はおおよそ200kN/mm²=200GPa |
B | 弾性限度 | 荷重を取り去ると応力とひずみが初めの点Oに戻る性質を示す限度
弾性限または弾性限界とも呼ばれる 弾性限度を超えると荷重を完全に取り除いてもひずみが残るが、これを「残留ひずみ」という。 |
C | 上降伏点 | 比例限度を超えて応力度が下降し始めるピーク点 |
D | 下降伏点 | 応力が反転する点 |
E | 降伏棚 | 下降伏点の応力度を保ったままひずみのみ増加する領域
俗に「踊り場」とも呼ばれる |
F | 引張強さ | 応力の最大値
例えば、鋼材の引張強さが400N/mm²の一般構造用鋼材をSS400、溶接構造用鋼材をSM400、溶接構造用耐候性鋼材をSMA400と表す |
G | 破断点 | 鋼材が破断する応力のこと |
Eの降伏棚から応力は再び増加しますが、このようにひずみが増加するにしたがって応力が再び増加する現象を【ひずみ硬化】といいます。
一方、長さℓの丸棒が軸方向にΔℓだけ伸びれば、直径(幅)bの横方向にはΔbだけ縮んで棒は細くなります。
このとき、
横方向のひずみ/軸方向のひずみ=(Δb/b)/(Δℓ/ℓ)
の式が成り立ち、これを【ポアソン比】と呼び、一般にはν(ニュー)で表します。
ちなみに鋼のポアソン比はν=0.3ですので覚えておきましょう。
さまざまな材料の応力-ひずみ線図の公式や定義
一方で応力-ひずみ線図は、材質によって曲線が異なりますので注意してください。
一般的によく知られているのは、鋼材(低炭素鋼、軟鋼)の曲線ですが、上記図解のように、鋳鉄や銅では異なる曲線を示しますので覚えておくと良いでしょう。
そしてフックの法則など、関連する公式や定義は以下のとおりです。
名称 | 公式 | 定義 |
①フックの法則 | σ=Eε | σ=垂直応力、E=ヤング率、ε=垂直ひずみ |
②フックの法則 | τ=Gγ | τ=せん断応力、G=せん断弾性係数、γ=せん断ひずみ |
③フックの法則 | P=Kεv | P=部材が一様な圧力、K=体積弾性率、εv=体積ひずみ |
公称応力 | σn=P/A₀ | σn=公称応力、P=荷重、A₀=断面積(変形前)
破断における荷重Pを破断前の断面積で割ったもの |
公称ひずみ | εn=δ/l₀ | εn=公称ひずみ、δ=変形量(伸び)、l₀=長さ(変形前) |
真応力 | σt=P/A | σt=真応力、P=荷重、A=断面積
荷重が作用して物体が伸びたとき、断面積が減少することを考慮した応力 |
ひずみ(微小増加量) | dε=dl/l | dε=ひずみ(微小増加量)、d=幅、ⅼ=長さ(標点距離) |
破断の伸び率 | Φ=(l’-l)/l×100% | Φ=破断の伸び率、l’=破断後の長さ、ⅼ=長さ(標点距離) |
破断の絞り | φ=(A-A’)/A×100% | φ=破断の絞り、A=標点間の元の断面積、A’=破断後の最小断面積 |
応力やひずみの他、ヤング率や伸び率との関係をまとめましたので参考にしてください。
応力ひずみ線図について!名称や意味を材料別まとめ
材料別に応力ひずみ線図は異なるので要チェック!
鋼材の応力ひずみ線図 | 低炭素鋼、鋳鉄、銅の応力ひずみ線図 |
以上です。
ありがとうございました。