品質管理

日常管理の例とは?方針管理&小集団活動のなど違いや事例

方針管理の仕組み例

今回は、QC検定にも出題される、方針管理・日常管理・小集団活動について解説します。

日常管理の例や方針管理&小集団活動のなど違いや事例についてみていきましょう。

また2級、3級ごとに過去問類似問題も載せておきましたので、ぜひチャレンジしてみてください。

 

日常管理の例とは?方針管理&小集団活動のなど違いや事例

まずは方針管理から見ていきましょう。

方針管理の事例

方針管理とは、企業において経営目的を達成するための手段として、「中長期経営計画」あるいは「年度経営方針」を効果的かつ効率的に達成するための、組織全体で取り組む活動のことです。

進め方としては、以下の手順になります。

方針管理の手順

  1. 方針の策定
  2. 方針の展開
  3. 実施計画の策定
  4. 活動状況のチェック
  5. 処置
  6. 反省

TQM(Total Quality Management)活動における経営管理システムの柱となります。

推進にあたっての留意事項は以下の表のとおりです。

方針管理 留意事項
1 中長期経営計画および年度経営方針の策定
  • 昨年度の反省、内外部の経営環境の分析に基づく、組織における問題点および重点課題を明らかにする
  • 目標に関しては、現状打破の観点から、客観的に評価ができる定量的・具体的な目標の設定を行う
  • 目標設定では、管理項目、目標値、達成期間を明記する必要がある
2 方針の展開および実施計画の策定
  • 上位の重点課題・目標が下位の重点課題・目標を達成することで、確実に達成するようにする
  • 部門間にわたるテーマは、部門それぞれのチーム連携を強化する
  • 経営資源配分を考慮し、予算と方策との整合性をとる
3 実施状況の確認および処置
  • 組織は目標が達成されない、または方策が計画どおり実施されないような現象を早期に発見できる仕組みをあらかじめ作っておくことが望ましい
  • 経営トップや部門長、リーダーなどは、定期的に方針実施状況、目標の達成状況などを確認することが望ましい
4 実施状況のレビューおよび次期への反映
  • 期末にはその期における方針の実施状況を総合的にレビューし、組織の中長期計画、経営環境を踏まえて次期の方針に反映させる

参考

〈JIS定義(JIS Q 9023:2023)〉

➀目標:方針または重点課題の達成に向けた取り組みおいて追及しめざす到達点

②重点課題:組織として重点的に取り組み達成すべき手段

③方策:目標を達成するために、選ばれる手段

④管理項目:目標の達成を管理するために評価尺度として選定した項目

また、方針管理の仕組み例を載せておきますので参考にしてください。(以下図解参照)

方針管理の仕組み例

 

日常管理の例と目的

日常管理とは、方針管理でカバーできない通常の業務について、組織的に取り組む仕組み・管理のことです。

組織それぞれの部門において、日常的に実施されなければならない分掌業務について、その業務目的を効率的に達成するために必要なすべての活動を指します。

企業経営の根幹をなす活動ともいえるでしょう。

例としては、製造業の検査課で行う「手順書通りの日常検査業務」などが挙げられます。

また日常管理の管理活動としては、維持活動と改善活動が含まれています。

「維持」とは目標を設定してずれないように、また目標からずれば場合にはすぐにもどせるようにする活動です。

一方、「改善」とは、目標を現状溶離高い水準に設定して、問題または課題を特定し、問題解決または課題達成をくりかえす活動となります。

 

小集団活動(QCサークル活動)の進め方

小集団活動(QCサークル活動)とは、一般社員が職場の改善活動を行うための自主的な活動です。

全体的なTQM(Total Quality Management)の一環として位置付けている企業もありますが、「TQMそのもの」ではないことに注意してください。

QCはアメリカから導入されましたが、QCサークルは日本で始まった小集団活動です。

同じ職場で働く職組長以下の小さなグループなどで構成されたものとなります。

【QCサークルの定義】

QCサークルとは、第一線の職場で働く人々が継続的に製品・サービス・ 仕事などの質の管理・改善を行う小グループである。

この小グループは、運営を自主的に行い、 QCの考え方・手法などを活用 し、創造性を発揮し、 自己啓発 相互啓発を図り、活動を進める。

この活動は、 QCサークルメンバーの能力向上・自己実現、明るく活力に満ちた生きがいのある職場づくり、 お客様満足向上及び社会への貢献を目指す。

経営者・管理者は、この活動を企業の体質改善・ 発展に寄与させるために、 人材育成・職場活性化の重要な活動と位置づけ、自らTQMなどの全社的活動を実践するとともに、人間性を尊重し全員参加を目指した指導・支援 を行う。

引用元:「QCサークル綱領」改訂版(QCサークル本部編、一般財団法人日本科学技術連盟刊)

また小集団活動(QCサークル活動)は、以下の3つを基本理念として掲げていますのでチェックしておきましょう。

基本理念

  1. 企業の体質改善・発展に寄与すること
  2. 人間性を尊重し、域外のある明るい職場を作ること
  3. 人間の能力を発揮し、無限の能力を引き出すこと

 

2級・3級QC検定で出題される方針管理・日常管理・小集団活動(QCサークル活動)過去問類似問題付き

それでは、QC検定でどのように出題されるか見ていきましょう。

3級QC検定の方針管理・日常管理・小集団改善活動(QCサークル活動)

まずは3級からです。

QC検定はすべてマークなので、選択肢の語句から文章を埋める形になります。

TQM活動における文章について、方針管理や日常管理に関連する語句を入れたり、方針管理については、手順(ステップ)の文章を完成させるような問題も出題されていました。

また小集団活動については、その活動として正しいか、間違っているかを問う〇×問題もありました。

それではここで、類似問題をやってみましょう。

【3級QC過去問類似問題】

以下の文章中に当てはまる語句を以下から選びなさい。

問題1)TQM活動において、(➀)は現状を(②)する活動が基本であるが、さらに好ましい状態へ(③)する活動も含まれる。

〈選択肢〉

ア:日常管理、イ:目標管理、ウ:方針管理、エ:プロセス管理、オ:維持、カ:標準化、キ:改善、ク:小集団活動

解答・解説を見る(クリック)

解答:➀ア、②オ、③キ

【解説】

日常管理については現状を維持し、さらに好ましい状態へ改善する活動も含まれる

 

問題2)方針管理の進める大まかなステップについては以下のとおり。

ステップ1:中長期計画や社内外の情勢や前年度の反省から(④)。

ステップ2:トップダウンやボトムアップによりすり合わせを行い、目標や方策へと(⑤)

〈選択肢〉

ア:方針の展開をする、イ:目標値を配分する、ウ:方針を策定する、エ:方針を分割する

解答・解説を見る(クリック)

解答:④ウ、⑤ア

ステップ1では方針を策定、ステップ2では方針の展開があてはまる

【解説】

日常管理については現状を維持し、さらに好ましい状態へ改善する活動も含まれる

 

問題3)小集団改善活動に関する次の文章で正しいものには〇、正しくないものには×を選びなさい。

➀小集団改善活動は現場第一線の自発的な活動であるべきだから、組織のトップが活動にかかわるのは好ましくない

②小集団改善活動は中長期的な視点に立って継続的に推進することが必要である

解答・解説を見る(クリック)

解答:➀×、②〇

ステップ1では方針を策定、ステップ2では方針の展開があてはまる

【解説】

小集団改善活動は自主的な運営であるが、組織のトップが活動にかかわらないというのは間違いである。よって➀は×

②は記述のとおり

 

【2級QC過去問類似問題】

方針管理について、文章に当てはまる最も適切なものを選択肢から選びなさい。

1)まずトップは、会社の経営理念・基本方針をもとに, (➀) を含むトップの年度方針を設定し、全社に明示する。

2)各部門では,このトップ方針を受け、 方針達成のための計画と管理方法を明確化し、内容によっては前年度の実績をし具体的な (②) を作成する。 そして、全員参加による 活動として実施推進していく.

3)全従業員には品質方針カードを配布する。 これに自らの取組みを記述することで、方針 の徹底と自らの役割の理解・認識、目標達成意識の高揚を図り、全社一丸となった活動につな げる.

4)実施段階においては推進組織として、部門推進者や事務局を設置し、定期的に全社推進委員会を開催している。 全社推進委員会は、各部門の (②) をもとに (③) や教育訓練 小集団活動の支援など、 目標達成に向けたさまざまな活動の推進を行う。

〈選択肢〉

ア. 実施計画、イ.品質目標、ウ. 標準化、エ.トップダウン、オ.進捗管理、カ.品質方針、キ.トップ診断

解答・解説を見る(クリック)

解答:➀カ、②ア、③オ

1)トップの年度方針に含まれるものは品質に関する方針である。

2)3)②は実施計画か品質目標が当てはまるが、文章で活動として実施・推進していくとあり、「実施計画」が適切。また③は標準化、進捗管理、トップ診断が候補に挙がるが、実施計画を基に行う「進捗管理」が最も適切となる。

 

5)目標を確実に達成するには、 計画・実施だけでなく、途中における目標の達成状況のチェックと反省が必要である。部門ごとに月例報告会を実施するほか (④)や内部検査などを行って手遅れにならないように、必要な措置を取りながら活動を促進している。

6)年度の活動が終了すると, 実施結果をまとめ、全部門が参画する報告会を開催し、反省を踏まえた (⑤)を打ち出す。

7)わが社では、この方針管理を行う一方で、日常の維持管理も着実に実行され(⑥) が可能となっている。 つまり、日常管理と方針管理を相互に連携させることで総合的品質管理の推進ができている。

〈選択肢〉

ア.社員就業規則、イ.国際規格、ウ.成り行き管理、エ.安定した管理状態、オ.次年度方針、カ.トップ診断、キ.委託先監査

解答・解説を見る(クリック)

解答:④カ、⑤オ、⑥エ

トップ診断とは各部門の目標達成状況をチェックする活動であり、④に当てはまる。

⑤については、活動終了後に反省を踏まえたうえで打ち出すものであるから、選択肢のなかでは「次年度方針」のみ当てはまる。

⑥日常の維持管理が実行されているために可能となっている状態を表すので、「安定した管理状態」が最も当てはまる。

 

日常管理の例とは?方針管理&小集団活動のなど違いや事例まとめ

方針管理とは、企業において経営目的を達成するための手段として、「中長期経営計画」あるいは「年度経営方針」を効果的かつ効率的に達成するための、組織全体で取り組む活動のこと

方針管理の手順

  1. 方針の策定
  2. 方針の展開
  3. 実施計画の策定
  4. 活動状況のチェック
  5. 処置
  6. 反省

日常管理とは、方針管理でカバーできない通常の業務について、組織的に取り組む仕組み・管理のこと(例:製造業の検査課で行う「手順書通りの日常検査業務」)

組織それぞれの部門において、日常的に実施されなければならない分掌業務について、その業務目的を効率的に達成するために必要なすべての活動を指す

企業経営の根幹をなす活動ともいえる

小集団活動(QCサークル活動)とは、一般社員が職場の改善活動を行うための自主的な活動

QC検定の問題を解きながら内容をチェック!

 

以上です。

ありがとうございました。

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