こんなお悩みに!
機械製図には欠かせない【幾何公差】
幾何公差のなかで平面度は面が対象となり、指示した面が「どれだけ真っ平らであるべきか」を指示する公差です。
今回は【平面度】について、測定方法や記号を解説していきます。
それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次からどうぞ 🙂
目次
平面度の測定方法や測定器
平面度の測定方法は主に2つ。
平面度の測定方法
- ダイヤルゲージやハイトゲージ
- 三次元測定機
平面度の測定方法・測定器➀ダイヤルゲージやハイトゲージによる測定
ダイヤルゲージとは、スタンドや各種精密機器に取り付けて使用する測定器です。
ノギスやマイクロメーターのように単体で使用できませんが、ダイヤルゲージと対象物の設置方法を工夫することで、寸法の変化だけでなく平面度や平行度・傾斜度・同軸度・同芯度といった幾何公差を測定することができます。
さらにハイトゲージやシリンダーゲージといった他の測定器と組み合わせることで、さまざまな箇所の寸法変化が測定可能です。
また、寸法精度を確認する必要がある製造現場では使用例が多く、スピンドルの直線運動または円孤運動を歯車機構などで機械的に拡大し、その動きを短針と長針で読み取ります。
直接測定と比較測定ができますが、測定長が約1mm~10mmと短いため、多くは比較測定に用いられます。
そしてダイヤルゲージには、「スピンドル式」と「てこ式」があり、一般にはスピンドル式が多く用いられます。
一方、てこ式は特に精度が求められる測定に利用されます。
スピンドル式 | スピンドル式ダイヤルゲージは、スピンドルの上下動を内部のラックギアとピニオンギアでダイヤルに伝え変化を拡大し、針を回転させて変位を表示させる
スピンドル式はストロークが長くできるので、旋盤やフライス盤を使った金属加工など、寸法変化の大きな対象物の測定に向いている また測定工具の表示部分として活用できるため、シリンダーゲージなど各種精密機器に取り付けて利用されることもある |
てこ式 | 「テストインジケータ」とも呼ばれる
てこの原理を使って測定し、スピンドルの角度を内部の大小の歯数で針に伝え、寸法変化を表示する スピンドルの部分が細く、スピンドル式ダイヤルゲージでは測れない狭い場所の測定が可能 てこの動きを読み取る構造であるため、測定長が短いという欠点がありますが、スピンドル式に比べて分解能が高いという長所がある 回転軸の振れや工作機械の精度検査など、高い精度の比較測定に利用されることが一般的 |
対象物を精密な平面テーブルの上に載せて固定し、ダイヤルゲージの測定部が測定面に触れるようにセットします。
測定箇所が均一になるように対象物を動かし、ダイヤルゲージの値を読み取り、それらの偏差の最大値が平面度になります。
平面度の測定方法・測定器②三次元測定機
【三次元測定機イメージ図】
三次元測定機は、部品の形状をデータ上で立体的にとらえて様々な測定をすることが可能です。
JIS B 7440では【互いに直行する案内と、案内の移動量を求めるスケール及びプローブをもち、それぞれの移動量からプローブの三次元座標値を求めることができる機械】と定義されています。
三次元測定機による測定点の情報は、三次元の座標(X、Y、Z)として記録され、その座標情報を組み合わせることにより、二次元または三次元の幾何学要素を作成します。
寸法や公差などが測定可能です。
二次元の幾何学要素 | 線、面、円、点 |
三次元の幾何学要素 | 球、円筒、円錐、直方形 |
平面度を測定するときには、4か所以上にスタイラス(先の尖った棒状の筆記具)を当て、ポイント測定をすれば平面度を測定することができます。
測定ポイントを増やすと、測定範囲が広い場合でも高精度かつ安定した測定が可能です。
一方で三次元測定機は以下のとおりです。
測定器のタイプ、測定方法などにより呼称や分類方法が異なりますので注意してください。
設置方法による分類 | 据置型 |
ポータブルタイプ | |
外観による分類 | 多関節アーム型 |
門型 | |
測定方法による分類 | レーザートラッカー |
レイアウトマシン | |
接触型 | |
非接触型 |
平面度とは?幾何公差の記号やJIS図面表記・単位をおさらい
おさらいとして平面度の定義や記号も解説していきます。
平面度の定義
平面度とは面が対象となり、指示した面が「どれだけ真っ平らであるべきか」を指示する公差のこと。
この平面度は単独で指示する公差であり、他の面との位置は関係ありません。
平面度の記号
記号は平行四辺形のようなマークが使われます。
幾何公差名 | 記号 | 意味 | データムの有無 |
平面度 | 【表面の凸凹さ】を指定するもの
上下に離れた2つの平面の間に挟まれた一定の距離にある |
無 |
下の図解は、直方体の上面に指示した例です。
指示した面が公差値に示された間隔の二平面に入ることを要求しています。(以下図解参照)
また底面との平行は関係なく、凸形状でも凹形状でも、形状に関わらず公差値以内であれば合格です。
さらに平面度の単位は、一般的にμm(マイクロメートル)やmm(ミリメートル)で表されることが多いです。
平面度と平行度の違い!JIS図面での表し方や考え方
平面度のほか、幾何公差には【平行度】というものもあります。
幾何公差名 | 記号 | 意味 | データムの有無 |
平行度 | データムに対して平行であることが求められるときに指示するもの
2つの直線または平面が平行であることを示す |
有 |
平面度と平行度の違いは測定対象が1つか2つ以上かということ。
平面度は単純に1つの面の凹凸や歪みなどが測定対象ですが、平行度はデータムとなる面もしくは線を基準に別の面もしくは線の誤差を測定します。
よって平行度はデータムが必要であり、平面度はデータムを指定しません。
ちがい |
|
平面度
測定対象が1つ |
平行度
測定対象が2つ以上 |
表面の凸凹さや面の平らな度合い、平坦さを指定するもの
上下に離れた2つの平面の間に挟まれた一定の距離にある データム(無) |
データムに対して平行であることが求められるときに指示するもの
2つの直線または平面が平行であることを示す データム(有) |
平面度の普通公差!JIS図面基準の許容値
普通公差では、許容値が定められているものがあります。
平面度もそのひとつです。
併せてJISの寸法公差(普通公差)許容差一覧表はチェックしておいたほうがよいでしょう。
以下の表をご覧ください。
(単位:mm)
基本サイズ 公差等級 |
呼び長さの区分 | |||||
10以下 | 10を超え100以下 | 30を超え100以下 | 100を超え300以下 | 300を超え1000以下 | 1000を超え3000以下 | |
直角度公差および平面度公差 | ||||||
H | 0.02 | 0.05 | 0.1 | 0.2 | 0.3 | 0.4 |
K | 0.05 | 0.1 | 0.2 | 0.4 | 0.6 | 0.8 |
L | 0.1 | 0.2 | 0.4 | 0.8 | 1.2 | 1.6 |
上記の表は平面度のほか、真直度にも利用されます。
平面度の公差を上記の表から選ぶときは、平面度は長方形の場合には長い方の辺の長さ、円形の場合には直径をそれぞれ基準とすればOKです。
平面度の測定方法や考え方まとめ
幾何公差のなかで平面度は面が対象となり、指示した面が「どれだけ真っ平らであるべきか」を指示する公差
幾何公差名 | 記号 | 意味 | データムの有無 |
平面度 | 【表面の凸凹さ】を指定するもの
上下に離れた2つの平面の間に挟まれた一定の距離にある |
無 |
平面度の測定方法&測定器
- ダイヤルゲージ
- 三次元測定機
平面度と平行度の違い |
|
平面度
測定対象が1つ |
平行度
測定対象が2つ以上 |
表面の凸凹さや面の平らな度合い、平坦さを指定するもの
上下に離れた2つの平面の間に挟まれた一定の距離にある データム(無) |
データムに対して平行であることが求められるときに指示するもの
2つの直線または平面が平行であることを示す データム(有) |
〇平面度の普通公差
(単位:mm)
基本サイズ 公差等級 |
呼び長さの区分 | |||||
10以下 | 10を超え100以下 | 30を超え100以下 | 100を超え300以下 | 300を超え1000以下 | 1000を超え3000以下 | |
直角度公差および平面度公差 | ||||||
H | 0.02 | 0.05 | 0.1 | 0.2 | 0.3 | 0.4 |
K | 0.05 | 0.1 | 0.2 | 0.4 | 0.6 | 0.8 |
L | 0.1 | 0.2 | 0.4 | 0.8 | 1.2 | 1.6 |
以上です。
ありがとうございました。