品質管理

TQMとは総合的品質管理!知っておきたい品質管理の基本

TQM

TQMとは経営管理手法のひとつで、Total Quality Managementの略称です。

品質管理の基本として知っておくべき考え方。

しっかりチェックしておきましょう。

TQMとは?

お金(利益)

TQMとは品質管理における経営管理手法のひとつです。

Total Quality Managementの略称で、顧客の満足を通じて組織の構成員および社会の利益を目的とします。

さらに品質を中核とした組織の構成員すべての参画を基礎とする経営方法とも言われています。

 

TQMの誕生(品質管理の歴史)

製造などにおける品質管理は戦後、アメリカから【SQC(Statistical Quality Control)】として導入されました。

その後、日本の企業では、製品の品質向上はもちろん、

  • 品質を優先する意識
  • QCサークル活動

など、日本独自のものへと変化させていったのです。

そして、「顧客に満足される製品をつくるためには、全社的な取り組みが必要である」という考え方から、活用・推進する「体制やしくみ、ノウハウ」などをとり入れ、そのレベルの向上を企業全体に適用していく【TQC(Total Quality Control)】へと発展しました。

TQC(Total Quality Control)は総合的な品質管理という意味!

これまで品質管理に適用されてきた化学的な考え方、手法、方法論などは、製造や品質管理以外の分野において有効で普遍的なものが多かったため、あらゆる部門にまでその活動が伝わっていきました。

現在では、その活動の広さから「マネジメント」という普遍的に使える表現に改められ、TQMとして進展してきたという経緯があります。

 

TQMほか品質管理における関連内容

TQMのほか、ISO9000では、品質マネジメントシステムの基本的考え方と、関連する用語などの定義が定められています。

品質マネジメントとしては8原則あり、内容は以下のとおりです。

ISO9000

品質マネジメントの8原則

項目 内容
顧客重視 常に顧客の方に目を向けて組織を運営

組織はその顧客に依存しており、そのため顧客の現在および将来のニーズを理解し、顧客要求事項を満たし、顧客の期待以上のものを提供するように努力すべき

リーダーシップ トップがリーダーシップを発揮し、組織を引っ張る

リーダーは組織の目的および方向を一致させる

リーダーは従業員が組織の目標を達成することに熱意をもって参加できるように内部環境を整え維持する

人々の参画 組織内の全員が自分に与えられた使命を果たす

組織内のあらゆる階層で働く従業員が組織の核であるため、従業員の熱意ある参加を得て初めてその能力が組織のために使われる

プロセスアプローチ 各プロセスを管理することによって、アウトプットを改善する

相互に関連する資源や活動をひとつのプロセスとして運営管理することで、望まれる結果がより効率よく達成される

プロセス:インプットをアウトプットに変換することを可能にするために資源を使って運営管理される活動

マネジメントへのシステムアプローチ 全体のプロセスの配置やつながりについてはトップが管理し、革新的な改善を行う

与えられた目的について相互に関連し合うプロセスをひとつのシステムとして明確にし、理解しながら運営管理することで組織の目標を効果的で効率よく達成することに寄与する

継続的改善 現状に満足せず、常に改善しようと努力する

継続的改善を組織の永遠の目標とすべきである

意思決定への事実に基づくアプローチ 実状を的確に把握したうえで次に行うことを決める

効果的な意思決定は、データおよび情報の分析に基づいている

供給者との互恵関係 供給者を下請けとして見るのではなく、パートナーとして扱う

組織およびその供給者は相互に依存しており、両者の互恵関係は両者の価値創造能力を高める

さらにくわしくは以下の記事をご覧ください。

ISO9000(品質マネジメントシステム)ISO9001との違いも

 

一方で、品質管理における概念も知っておきましょう。

顧客の立場から分類した品質要素は、5つに分類できます。

以下の表をご覧ください。

魅力的品質 充足されなくても不満はないが、充足されるとうれしい項目
一時的品質 充足されないと不満、充足されるとうれしい項目
当たり前品質 充足されないと不満、充足されてもとくにうれしくない項目
無関心品質 充足されてもされなくても、不満もうれしくもない項目
逆評価品質 充足されると逆に評価を下げる項目

言葉と意味はリンクしているので、自分が買い物をするときをイメージしながら覚えると良いですよ 😉

【関連記事】

品質の概念★QC検定にも出る品質要素や4つの観点かんたん解説

 

TQM(Total Quality Management)に関する例題

それではQC検定にもよく出るTQMについて、例題を解いてみましょう。

【例題】次の文章に当てはまる語句を選択肢から選びなさい。

1)品質管理活動を効率的に実践するためには、研究・開発・企画・設計から製造・販売・営業・経理・人事・総務に至るまで、経営者を始めとして全社員が実施することが不可欠である。

この活動をTQM、すなわち(➀)という。

2)TQMを実施するには、まずトップダウン活動である(②)を進める。この活動は現状打破機能をねらい、品質方針を定め、目標を達成するため企業組織全体の協力の下で行われる。

そのため、「ヒト・モノ・カネ」といった資源の比較的大規模な投入が必要で、その進め方は敬遠方針により年度活動計画を立案・実施し、その成果を(③)で評価する。

【選択肢】

ア:総合的品質管理、イ:プロセス管理、ウ:統計的品質管理、エ:方針管理、オ:経営戦略、カ:トップ診断、キ:ベンチマーキング、ク:日常管理

解答・解説をみる(クリック)

➀ア:総合的品質管理、②エ:方針管理、③カ:トップ診断

【解説】

1)品質管理を効果的に実施するためには、市場調査、研究・開発, 製品の企画、設計、生產準備,購買・外注、製造、検査及びアフターサービ ス並びに財務、人事、教育などの企業活動の全段階にわたり、経営者をはじめ管理者,監督者,作業者など企業の全員の参加と協力していく活動が必要である。

このように実施される品質管理を TQM といい、Total Quality Management の略である。いわゆる、総合的品質管理という。したがって、 ➀アが正解。最近では、戦略的な経営管理を重視する総合的品質マネジメントや総合的品質経営などということもある。

2)TQM を実施するには、経営基本方針に基づき、長・中期経 営計画や短期経営計画を定め、それらを効果的・効率的に達成するために、 企業組織全体の協力のもとに行われるトップダウン活動である方針管理が必要である。したがって, ②エが正解である。

また,これらの方針管理の活動が計画どおり進んでいるか、目標の達成状況などの成果を社長自ら確認することが重要であり、これをトップ診断という、したがって、③カが正解となる。

【関連記事】

方針管理や日常管理について

 

以上です。

そのほか品質管理については、カテゴリー【品質管理】をご覧ください。

ありがとうございました。

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