今回のテーマは図面や製図における【ばね】
ばねの種類ごとに図面の表示・表記方法やJIS基準、見方&書き方について解説していきます。
それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次からどうぞ 🙂
目次
バネの図面表記や製図でのJIS基準!バネサイズの見方&書き方図解で解説
まず「ばね」には、①コイルばね、②重ね板ばね、③竹の子ばね、④渦巻きばね、⑤皿ばねなど様々な種類がありますが、最も多く使用されるのは【コイルばね】です。
一方で、製図の寸法表記なども併せてチェックしておくとよいでしょう。
バネの図面表記&製図・図面の見方・書き方➀コイルばね
コイルばねは力を受ける方向によって、圧縮方向に力を受ける「圧縮コイルばね」と引張方向に力を受ける「引張りコイルばね」、ねじり方向に力を受ける「ねじりコイルばね」があります。
コイルばねの種類
- 圧縮コイルばね
- 引張りコイルばね
- ねじりコイルばね
圧縮コイルばね
圧縮コイルばねは、圧縮方向で使用します。
JIS規格では2つの簡略図示方法が提示されており、実務ではCがよく使われます。
図示の種類 | 図示方法
圧縮コイルばね |
A実態図 | |
B簡略図示② | |
C簡略図示② |
ばね材料の中心線を実線で表し、巻き数は仕様に合わせず適度な角度で折れ線状態で書くのが一般的です。
引張りコイルばね
引張りコイルばねも圧縮コイルばねと図示の考え方は同じです。
実務では簡単に作図できる③で描くことが多いでしょう。
図示の種類 | 図示方法
引張りコイルばね |
A実態図 | |
B簡略図示② | |
C簡略図示② |
ねじりコイルばね
ねじりコイルばねの図示方法はこんな感じ 🙂
なお、コイルばねは一般的に無荷重の状態で描くことになっています。
また図面には主要な寸法のみを記入し、荷重、許容差など図面の中に記入しにくい事項は、要目表に一括して記入してください。(その他のばねも同様)
上記で示した図のように、両端を除いた同一形状部分の一部を省略図示することが広く行われています。
この場合、省略した部分は、その線形の中心線のみを細い一点鎖線で示しておけばOKです。
バネの図面表記&製図・図面の見方・書き方②重ね板ばね
重ね板ばねは、数枚のばね板を重ね合わせてつくったもので、自動車や鉄道車両の車体などのように、強大な荷重を受ける場合に使用され、JIS B 2710に規定されています。
以下の図は、重ね板ばねの製作図に用いられる図面の例を表したもの。
ばね板(JIS G 4801 Bタイプ断面) | ||||||||
番号 | 展開長さ(mm) | 板厚
(mm) |
板幅
(mm) |
材料 | 硬さ
(HBW) |
表面処理 | ||
A側 | B側 | 計 | ||||||
1 | 676 | 748 | 1424 | 6 | 60 | SUP6 | 388~461 | ショットピーニング後ジンクリッチペイント塗布 |
2 | 430 | 550 | 980 | |||||
3 | 310 | 390 | 700 | |||||
4 | 160 | 205 | 365 |
〈要目表〉
番号 | 部品番号 | 名称 | 個数 |
5 | センタボルト | 1 | |
6 | ナット、センタボルト | 1 | |
7 | クリップ | 2 | |
8 | クリップ | 1 | |
9 | ライナ | 4 | |
10 | ディスタンスピース | 1 | |
11 | リベット | 3 |
重ね板ばねの場合、ボルト、ナット、金具などとともに組み立てられた状態で描くのが一般的で、これらの部品の詳細図は別に描き表すのが良いでしょう。
また、ばね板は規格化されているので、一般には組み立てられた状態でその展開長さを記入すればOK!
しかし規格外品やその他、とくに必要がある場合には、1枚のばね板の図を描き表すようにしてください。
なお、重ね板ばねではコイルばねと異なり、ばね板が水平の状態で描くのが原則ですが、図にあるように、それに無荷重時の状態の一部を、想像線で描き表しておきましょう。
また以下の図は、社内規格などに定められているばね、または専門工場の標準品を購入する場合などに用いられる線図的な略画法を示したものです。
バネの図面表記&製図・図面の見方・書き方③竹の子ばね
竹の子ばねは、薄板を渦巻状に打ち抜いたり、あるいは帯鋼を巻いてつくられるものです。
製図での代表的な図面表示と簡略図は以下のとおり。
コイルばねと同じく右巻きのものが一般的です。
バネの図面表記&製図・図面の見方・書き方④渦巻きばね
渦巻きばねは、時計のゼンマイなどに用いられ、力を蓄えてそのエネルギーを原動力として使う場合に使用されます。
以下の図面表示と要目表は製図の図示例です。
この場合も無荷重時の状態で描くのを標準としています。
【渦巻きばね図面表示例】
〈要目表の図示例〉
材料 | SUS301-CSP |
板厚 mm | 0.2 |
板幅 mm | 7.0 |
全長 mm | 4000 |
硬さ HV | 490以上 |
10回転時巻き戻しトルク N・mm | 69.6 |
10回転時の応力 N/mm² | 1486 |
巻軸径 mm | 14 |
香箱内径 mm | 50 |
表面処理 | - |
バネの図面表記&製図・図面の見方・書き方⑤皿ばね
皿ばねは、底のない皿のような形をしたばねで、座金と同様の目的で使用されること多いです。
座金(ざがね)とは、ボルトをしめる時、ナットの下に置く薄い金属板のことです。
皿ばねの図示と要目表は以下のとおりです。
〈要目表〉
材料 | SK5-CSP | |
内径 mm | +0.4
30 0 |
|
外径 mm | 0
60-0.7 |
|
板厚 mm | 1 | |
高さ mm | 1.8 | |
指定 | たわみ mm | 1.0 |
荷重 N | 766 | |
応力 N/mm² | 1100 | |
最大 | たわみ mm | 1.4 |
荷重 N | 752 | |
応力 N/mm² | 1410 |
バネの図面表記や製図でのJIS基準!バネサイズの見方&書き方まとめ
ポイント
①コイルばね、②重ね板ばね、③竹の子ばね、④渦巻きばね、⑤皿ばねなど様々な種類がある
種類それぞれで書き方が異なるので図解を要チェック!
以上です。
ありがとうございました。