図面を描いていると必ず出てくる「寸法補助記号」
CとかRとか、矢印に横線とか…最初はなんだこれ?って思いますよね。
でも実は、加工現場や検査で欠かせない“共通の言葉”なんです。
面取りを間違えれば部品がハマらないし、穴深さを勘違いすれば工具が泣きを見る。
だからこそ、JISで決められた記号の意味をちゃんと押さえておくのはエンジニアの基本。
この記事では、よく使う記号を一覧でまとめて、呼び方や意味をわかりやすく解説していきます。
目次
寸法補助記号一覧!意味や呼び方まるっと解説!製図(JIS)の基本
寸法補助記号一覧はこちら!
意味と呼び方をチェックしておきましょう。
| 寸法補助記号 | 意味 | 呼び方 |
| Φ | 180°をこえる円弧の直径または円の直径 | ”ファイ”または”マル” |
| SΦ | 180°をこえる球の円弧の直径または球の直径 | ”エスファイ”または”エスマル” |
| ☐ | 正方形の辺 | ”カク” |
| R | 半径 | ”アール” |
| CR | コントロール半径 | ”シーアール” |
| SR | 球半径 | ”エスアール” |
| 円弧の長さ | ”エンコ” | |
| C | 45°の面取り | ”シー” |
| 円すい(台)状の面取り | ”エンスイ” | |
| t | 厚さ | ”ティー” |
| ざぐり、深ざぐり | ”ザグリ”、”フカザグリ” | |
| 皿ざぐり | ”サラザグリ” | |
| 穴深さ | ”アナフカサ” |
詳しい内容は次の章から解説していきます。
寸法補助記号➀Φ
寸法補助記号「Φ(ファイ)」は、図面で円や円筒形の寸法を示す際に用いられる記号です。
直径を表すため、数値の前に「Φ」を付けることで、その寸法が円の直径であることを明確にします。
例えば「Φ25」と記せば直径25mmの円や穴を意味します。

建築図面や機械製図など幅広い分野で使われ、半径記号「R」と区別される点が重要です。
寸法補助記号②SΦ
寸法補助記号「SΦ」は、球の直径を表すために用いられる記号です。
通常の「Φ」が円や円筒の直径を示すのに対し、「SΦ」は球体の直径を明示するために使われます。
例えば「SΦ50」と記せば直径50mmの球を意味します。

部分球や180°未満の球形状を示す場合は「SR」(球半径)が用いられるため、用途に応じて使い分けることが重要です。
寸法補助記号③☐
寸法補助記号「☐」は、図面において正方形の寸法を示すために用いられる記号です。
「Φ」が円の直径を表すのに対し、「☐」は四角形、特に正方形の一辺の長さを明示します。
例えば「☐20」と記せば、一辺が20mmの正方形を意味し、機械製図や建築図面で、穴や断面形状が正方形であることを簡潔に伝えるために使われます。

寸法補助記号④R
寸法補助記号「R」は、図面において**半径(Radius)**を示すために用いられる記号です。
円弧や部分円の寸法を表す際、数値の前に「R」を付けることで、その寸法が半径であることを明確にします。
例えば「R5」と記せば、半径5mmの円弧を意味します。

直径を示す「Φ」と区別され、特に部分円や円弧の寸法指定に不可欠な記号です。
寸法補助記号⑤CR
コントロール半径(CR)は、図面において曲線と直線が滑らかに接続するように規定された半径を示す寸法補助記号です。
通常の「R」が単純な円弧の半径を表すのに対し、CRは設計上の形状制御を意図して用いられます。
例えば角部の丸みや曲面のつながりを一定の半径で加工する際に指定され、形状の連続性や美観、機能性を確保する役割を持ちます。

寸法補助記号⑥SR
寸法補助記号「SR」は、図面において**球の半径(Sphere Radius)**を示すために用いられる記号です。
通常の「R」が円弧の半径を表すのに対し、「SR」は球体や部分球の半径を明確に指示するために使われます。
例えば「SR90」と記せば半径90mmの球面を意味します。

球全体の直径を示す場合は「SΦ」が用いられるため、用途に応じて使い分けることが重要です。
寸法補助記号⑦円弧
寸法補助記号の円弧は、図面上で円や円弧の寸法を示す際に用いられる補助的な記号です。
通常、半径寸法を表す「R」と組み合わせて使用され、円弧の中心から寸法線を引き、対象となる円弧部分を明確に示します。
なお、円弧であることを明確にするため、寸法数値の前または寸法数値の上に記号を記入します。

寸法補助記号⑧C
寸法補助記号「C」は、図面において45°面取りを指示するための記号です。
例えば「C1」と記せば、角部を1mmずつ削り取る45°面取りを意味します。
部品の角を安全にし、組み付け性や仕上げ性を高める目的で用いられます。

寸法補助記号⑨円すい状の面取り
図面における寸法補助記号「円すい」は、**円すい状の面取り(テーパー加工)**を指示するために使われます。
円筒部品の端部を面取りして円すい台状の形状を作る場合は記号”∧”を寸法数値の前に記載します。
そして寸法数値の後には”×”を続けて円すいの頂角を指示しましょう。

寸法補助記号⑩t
寸法補助記号「t」は、図面において板厚(thickness)を示すために用いられる記号です。
特に板金部品や薄い材料を扱う設計図で頻繁に使用され、例えば「t2」と記せば板厚が2mmであることを意味します。
板厚は製品の耐久性や重量に直結する重要な寸法であり、簡潔に表記できる「t」は図面の標準的な補助記号としてよく使われています。
寸法補助記号⑪ざぐり・深ざぐり
ざぐり・深ざぐりとは、ボルトやねじの頭部を部品表面より沈めて収めるために行う加工を指します。
図面では「ざぐり穴」や「座ぐり」とも呼ばれ、通常は円形の穴の上部を広げて平らに削り、六角ボルトや皿ねじの頭が突出しないようにします。
これにより、組み付け後の外観を整えたり、他部品との干渉を防ぐ効果があります。

寸法補助記号⑫皿ざぐり
皿ざぐりとは、ねじやボルトの頭部を部品表面に対して平らに収めるために行う加工で、特に皿ねじ用に施されます。
通常のざぐりが円筒状に穴を広げるのに対し、皿ざぐりは円錐状に加工し、ねじ頭が表面と面一になるようにします。
図面表記の一例はこちら(^^)/

これにより、外観が整い、他部品との干渉を防ぎ、滑らかな仕上がりが得られます。
寸法補助記号⑬穴深さ
穴深さの記号は、文字のとおり「穴の深さ」を指示した記号です。
穴の直径を示す寸法の次に、穴の深さ記号を記載し、続けて深さの数値を記入します。

ただし、貫通穴のときは、穴の深さを記入しないのが基本です。
寸法補助記号一覧まとめ
寸法補助記号一覧のおさらいです。
ぜひご活用ください。
| 寸法補助記号 | 意味 | 説明 | 呼び方 |
| Φ | 180°をこえる円弧の直径または円の直径 | 寸法補助記号「Φ(ファイ)」は、図面で円や円筒形の寸法を示す際に用いられる記号 | ”ファイ”または”マル” |
| SΦ | 180°をこえる球の円弧の直径または球の直径 | 寸法補助記号「SΦ」は、球の直径を表すために用いられる記号 | ”エスファイ”または”エスマル” |
| ☐ | 正方形の辺 | 寸法補助記号「☐」は、図面において正方形の寸法を示すために用いられる記号 | ”カク” |
| R | 半径 | 寸法補助記号「R」は、図面において**半径(Radius)**を示すために用いられる記号 | ”アール” |
| CR | コントロール半径 | コントロール半径(CR)は、図面において曲線と直線が滑らかに接続するように規定された半径を示す寸法補助記号 | ”シーアール” |
| SR | 球半径 | 寸法補助記号「SR」は、図面において**球の半径(Sphere Radius)**を示すために用いられる記号 | ”エスアール” |
| 円弧の長さ | 寸法補助記号の円弧は、図面上で円や円弧の寸法を示す際に用いられる補助的な記号 | ”エンコ” | |
| C | 45°の面取り | 寸法補助記号「C」は、図面において45°面取りを指示するための記号 | ”シー” |
| 円すい(台)状の面取り | 図面における寸法補助記号「円すい」は、**円すい状の面取り(テーパー加工)**の指示 | ”エンスイ” | |
| t | 厚さ | 寸法補助記号「t」は、図面において板厚(thickness)を示すために用いられる記号 | ”ティー” |
| ざぐり、深ざぐり | ざぐり・深ざぐりとは、ボルトやねじの頭部を部品表面より沈めて収めるために行う加工 | ”ザグリ”、”フカザグリ” | |
| 皿ざぐり | 皿ざぐりとは、ねじやボルトの頭部を部品表面に対して平らに収めるために行う加工 | ”サラザグリ” | |
| 穴深さ | 穴深さの記号は、文字のとおり「穴の深さ」を指示した記号 | ”アナフカサ” |