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ボルトの強度区分表!表示や使い分け(JIS)とナットとの組み合わせ

ねじ(強度区分)

ネジ(ボルト・ナット)の強度区分表における表示は、ネジ頭に材質や強度を示す数字が記載されています。

はじめの数字は引張強さまたは材質で、次の数字は引張強さに対してどのくらい(%)の荷重が降伏点なのかを表しています。

そのほか、表示や使い分け、ボルト・ナットとの組み合わせについても記載しています。

ぜひご確認ください。

ボルトの強度区分表!表示や使い分け(JIS)とナットとの組み合わせ

ネジ工具

鋼製ネジ(ボルト)の強度区分や表示

鋼製ネジの強度区分表示は【6.8】などと表します。

強度区分が【6.8】の場合、「6」は引張強さが600N/mm2 、「8」は引張強さの80%である「480N/mm2」が降伏点であることをが分かります。

 

ステンレス製ネジ(ボルト)強度区分や表示

ステンレス製ネジの強度区分は【A3-70】などと表します。

強度区分表示が「A3-70」の場合、はじめのアルファベットと数字は鋼種区分でA1~A5はオーステナイト系、C1~C4はマルテンサイト系、F1ならフェライト系を示します。

したがって、「A3」はオーステナイト系です。「70」は引張強さが「700N/mm2」であることを示します。

オーステナイト系(A1~A5)ボルト強度区分表

鋼種区分 強度区分
引張強さ 加工法
 

A1

A2

A3

A4

A5

 

50 軟質
70 冷間加工
80 高強度

例:「A3-80」は「オーステナイト系で引張強さが「800N/mm2」の高強度のネジ」ということです。

 

マルテンサイト系(C1~C4)ボルト強度区分表

鋼種区分 強度区分
引張強さ 加工法
C1 50 軟質
70 焼き入れ、焼き戻し
110 焼き入れ、焼き戻し
C4 50 軟質
70 焼き入れ、焼き戻し
C3 80 焼き入れ、焼き戻し

例:「C4-50」は「マルテンサイト系で引張強さが「500N/mm2」の軟質ネジ」ということです。

 

フェライト系(F1)ボルト強度区分表

鋼種区分 強度区分
引張強さ 加工法
F1 45 軟質
60 冷間加工

例:「F1-45」は「フェライト系で引張強さが「450N/mm2」の軟質ネジ」ということです。

ボルトやネジ、ナットの図面表示も併せてチェックしておくとよいでしょう。

 

ボルトとナットの強度区分表と組み合わせ

ナットとは部材の組立のときに使用されるねじ締結器具のひとつだよ

ネジの部品等級にも関係しています。

鋼製ナットの強度区分表

保証荷重応力とは、引張り試験で求めた降伏点、または耐力の約90%に設定された保証荷重を、ボルト・小ネジにかけ15秒間保持し永久伸びが生じてはならない点の応力のこと。

鋼製ナットの強度区分は保証荷重応力を表しており、関係は以下のとおりです。

ナットの強度と保証荷重応力の関係
保証荷重応力

(N/mm²)

ナット強度区分
510 4
520~630 5
600~720 6
800~920 8
900~920 9
1040~1060 10
1140~1200 12

 

ナットは【JIS B 1052-2:炭素鋼及び合金鋼製締結用部品の機械的性質-第2部:強度区分を規定したナット-並目ねじ及び細目ねじ】規格で定められています。

高さによって低ナット(スタイル0)、並高さナット(スタイル1)、高ナット(スタイル2)の3種類に分けられます。

  1. 低ナット(スタイル0):ナットの高さの最小値が0.45D以上0.8D未満
  2. 並高さナット(スタイル1):ナットの高さの最小値が0.8D以上
  3. 高ナット(スタイル2):ナットの高さが約0.9D以上

ここでのDは、ねじの呼び径を意味しており、呼び径に対してナットの高さがどれくらい違うかによって分類がされています。

そしてナットのスタイル、強度区分、ねじの呼び径の範囲の関係は以下の表の通りです。

低ナット(スタイル0)ナットの高さの最小値が0.45D以上0.8D未満

強度区分

低ナット(スタイル0)

04

M5≦D≦M39、M8×1≦D≦M39×3

05

M5≦D≦M39、M8×1≦D≦M39×3

並高さナット(スタイル1) ナットの高さの最小値が0.8D以上

強度区分 並高さナット(スタイル1)
5 M5≦D≦M39、M8×1≦D≦M39×3
6 M5≦D≦M39、M8×1≦D≦M39×3
8 M5≦D≦M39、M8×1≦D≦M39×3
10 M5≦D≦M39、M8×1≦D≦M16×1.5
12 M5×≦D≦M16

高ナット(スタイル2)ナットの高さが約0.9D以上

強度区分 高ナット(スタイル2)
8 M5≦D≦M39、M8×1≦D≦M39×3
9 M5≦D≦M39
10 M5≦D≦M39、M8×1≦D≦M39×3
12 M5×≦D≦M39、M8×1≦D≦M16×1.5

(引用元:JIS B 1052-2:2014 炭素鋼及び合金鋼製締結用部品の機械的性質-第2部:強度区分を規定したナット-並目ねじ及び細目ねじ)

並高さナット(スタイル1)や高ナット(スタイル2)とおねじ部品の強度区分との組合わせ

ねじ

一方で、ボルトの強度を十分に発揮させるためには、強度区分の合う適切なナットを使う必要があります。

並高さナット(スタイル1) 及び高ナット(スタイル2)の強度区分に対して、組み合わせられるおねじ部品の最大強度区分の組み合わせは下表の通りです。

組み合わせて使用されるおねじ部品の最大強度区分 ナットの強度区分
5.8 5
6.8 6
8.8 8
9.8 9
10.9 10
12.9 12

(引用元:JIS B 1052-2:2014 炭素鋼及び合金鋼製締結用部品の機械的性質-第2部:強度区分を規定したナット-並目ねじ及び細目ねじ)

ナットは、JIS規格にて強度区分と製造業者識別記号を表示するようにと定められています。

表示はナットの側面または座面に、くぼみ加工または刻印するか、外周の面取り部に浮き出しで表すのが一般的です。

またフランジ付きナットで、製造工程中にナットの頂面に表示できない場合は、フランジ上面に表示します。

ボルトの強度区分表!表示や使い分け(JIS)とナットとの組み合わせまとめ

まとめ

鋼製のネジ強度区分が【6.8】の場合、「6」は引張強さが600N/mm2 、「8」は引張強さの80%である「480N/mm2」が降伏点であることをが分かる

「A3-80」は「オーステナイト系で引張強さが「800N/mm2」の高強度のネジ」ということ

「C4-50」は「マルテンサイト系で引張強さが「500N/mm2」の軟質ネジ」ということ

「F1-45」は「フェライト系で引張強さが「450N/mm2」の軟質ネジ」ということ

ナットの強度と保証荷重応力の関係
保証荷重応力

(N/mm²)

ナット強度区分
510 4
520~630 5
600~720 6
800~920 8
900~920 9
1040~1060 10
1140~1200 12

以上です。

ありがとうございました。

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