製図・図面

図面のキリとは?製図のキリ穴・φ・ざくりの関係と意味・読み方解説

きり穴(ドリル)
製図や図面に書いてある「キリ」とはなんだろう?

こんな疑問をサクッと解決!

★製図の見方シリーズ★

機械エンジニアの僕shoheiが解説します

今回は図面の「キリ(キリ穴)」という表示について!

さらにφやざくりの関係や意味・読み方もまとめています。

それではさっそく参りましょう、ラインナップは目次からどうぞ 😉

 

図面のキリとは?製図のキリ穴・Φ・ざくりの関係と意味・読み方解説

【図面のキリ表示】

きり穴表示

製図や図面に表示されている「7キリ」「5キリ」という単語は、きり穴の直径を表しています。

5キリ⇒穴の直径5mm、7キリ⇒穴の直径7キリとなるわけですね。

きり穴とは、さまざまな穴加工の工具のなかで、ドリルを使うことを指示したもの。

ドリルはボール盤という穴あけ専用加工機にセットして加工し、他の工具と比べるともっとも簡単に安く加工できます。

穴加工の工具はドリルの他、エンドミル、リーマ、ボーリング工具などがあるよ!

 

 

製図におけるキリ穴とφ・直径記号のちがい

きり穴とφ(直径)のちがいはこんな感じ 😉

キリ穴とφの違い

φの読み方は「ファイ」だよ
穴の表示 寸法数値のちがい 加工の指示のちがい
きり穴 ドリルの直径 ドリルを使って加工することを指示
Φ 加工後の直径 加工方法は加工者にお任せ

つまり、きり穴は指定寸法のドリルを使って加工すれば加工後の直径はなんでもOK!

一般的に加工後の穴径はドリル径よりも0.1mmほど大きくなり、最もコストの安い穴加工方法と言われています。

余裕のある寸法指示がきり穴の特徴なので、加工後の穴径は保障の必要がありません。

言い換えれば、穴径寸法の精度や真円度が必要ない場合に、コストの安い「きり穴」を採用します。

一番多い使い道はネジを固定する際の貫通穴です。

この貫通穴はネジが通りさえすればよいので、余裕のある大きめの寸法を指示しているため、加工後の出来上がり寸法がばらついても特に問題ありません。

加工後の精度が必要な場合

一方で、きっちりとした真円や加工後の精度が必要な場合には、直径記号Φ(マルまたはファイと呼ぶ)を使い、寸法公差や幾何公差を併用して指示します。

仕上げ用のリーマなどの専用工具を使って加工することが多いよ★

また寸法値は加工後の直径を表し、加工方法は加工者にお任せです。

よってドリル以外の工具を使ったとしても、加工後の直径を満たしていれば問題ありません。

Φとキリのちがい

【Φとキリの違い】

 

また、製図では、シャーペンの違いや線の太さや重なる線の優先度があります。

併せてチェックしておきましょう。

 

製図や図面でのざくりとキリ穴の関係は?表記方法に注意

ざくりとは、サビついた面や表面がザラザラしている面でネジと接触面を密着させるために、面を平坦にする加工のこと。

ざくりの直径は、使用するネジの頭の直径より大きめで加工の深さは1mmくらいが一般的です。

ちなみに2010年のJISの改訂で、「座ぐり」から「ざぐり」に変更、ざぐり記号が新規追加、深さも指示することになりました。

ざぐり記号のあとにΦ直径寸法、続いて深さ記号と深さ数値を記入します。

くわしくは以下の図をご覧ください。

【ざくり等の表示】

ざぐり表示(JIS)

 

深ざぐりの表示

また、一般的なざぐりよりも加工深さが深いものを深ざぐり(ふかざぐり)と呼びます。

これはネジの頭を沈めることで他の部品との干渉を防ぐ対応としてよく使われる加工です。

一般的に深ざぐりは、締付力がつよい六角穴付きボルトに即した寸法(直径、深さ)となります。

ただし表示方法はざくりと同じであるため、深さが約1mm前後の指示であれば「ざぐり」、約3mm以上の深さ指示であれば「深ざぐり」の意味であると覚えておきましょう。

 

キリ・皿ざぐりの表示

皿小ネジを使って固定するときは、ネジのテーパー部を埋め込むために皿ざぐり加工を実施します。

2010年のJIS改訂により、皿ざぐりの表示は以下のようになりました。

皿ざぐりの表示例

【皿ざぐり表示例(JIS)】

 

図面のキリ・同じ穴が等間隔で連続するときの表示

連続穴の表示例

【連続穴の表示例】

同じ穴が等間隔で一直線上に複数個ある場合、穴ひとつずつに直径とピッチ法と呼ばれる間隔を記載します。

まず穴の指示では

【個数×穴寸法指示】で表します。

たとえば、10個の直径5mmのきり穴であれば「10×5キリ」、8個の直径6mmの穴であれば「8×Φ6」となります。

またピッチ寸法は1箇所だけに記載し、両端の穴のピッチ寸法を

【ピッチの数×ピッチ寸法(=両端の寸法)】

で表します。

ピッチの数は穴の個数からひとつ差し引いた数になるので、10個穴でピッチ8mmの場合、表示は「9×8(=72)」となります。

図面のキリとは?製図のキリ穴・Φ・ざくりの関係と意味・読み方まとめ

製図や図面に表示されている「7キリ」「5キリ」という単語は、きり穴の直径を表しています。

例:5キリ⇒穴の直径5mm、7キリ⇒穴の直径7キリ

穴の表示 寸法数値のちがい 加工の指示のちがい
きり穴 ドリルの直径 ドリルを使って加工することを指示
Φ(ファイ) 加工後の直径 加工方法は加工者にお任せ

さまざまな「ざくり」の表示方法があるので注意!

 

以上です。

ありがとうございました。

Ad

-製図・図面

error: このコンテンツのコピーは禁止されています

© 2024 機械エンジニアのメカニック辞典 Powered by AFFINGER5