図面でよく見かける「R」の記号、その正確な意味や、それがどのような指示を表すのか、疑問に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
この記事では、図面における「R」が「半径」を意味する記号であること、そして(R)が具体的にどんな指示を伝えるのかをわかりやすく解説します。
また図面表記で混同しやすい「Φ(ファイ)」や「C(シー)」といった記号との違いについても、具体的な図解を交えながら詳しくご紹介します。
ポイント
図面Rの意味やΦやCとの違いや(R)について
図面(R)やRだけ※数値なしの意味
目次
図面Rの意味(表記)とは?半径を表す記号!
図面において「R」という記号は、非常に重要な意味を持ちます。
これは「Radius(ラディウス)」の頭文字を取ったもので、日本語では「半径」を指します。
設計図や製図において、角の丸みや円弧の大きさを指定する際に使用される記号です。
機械部品や建築物、製品のデザインなど、あらゆる分野の図面でこの「R」の指示を見ることができます。
鋭利な角をなくし、安全性を高めたり、応力集中を緩和したり、またはデザイン上の美しさを追求したりする目的で、意図的に丸みを帯びた形状が採用される際に、その丸みの度合いを明確に指示するために「R」が用いられるのです。
Rは「Radius(半径)」を表す記号
図面上の「R」は、その箇所が特定の半径を持つ円弧であることを示します。
例えば、「R5」と表記されていれば、それは半径が5ミリメートル(または指定された単位)の円弧であることを意味します。
※以下の図解参照

この半径の数値が大きければ大きいほど、その丸みは緩やかになり、小さければ小さいほど、より急な丸みを持つことになります。
この記号は、単に丸みを指示するだけでなく、その形状が持つ機能性や加工のしやすさにも深く関わっています。
例えば、溶接部にRをつけることで応力集中を防ぎ、強度を高める目的があったり、人の手が触れる部分にRをつけることで安全性を確保したりするケースがあります。
このように、Rは単なる形状の指示にとどまらず、製品の性能や安全性、使いやすさに直結する重要な情報なのです。
図面におけるRの具体的な表記方法
図面においてRは、通常、その円弧の中心点から円周までの距離である半径の数値を伴って表記されます。
一般的な表記は「R○○」という形式で、○○の部分には具体的な半径寸法が入ります。例えば、半径が10mmの円弧であれば「R10」と表記されます。
このRの指示は、対象となる円弧や丸みの部分に引き出し線で示されるか、あるいは寸法線の一部として記載されることが一般的です。
特に、製品の角部分に丸みを持たせる「角R」や、特定の穴の縁に施される「面取りR」など、多岐にわたる箇所で利用されます。
また、JIS(日本産業規格)では、製図に関するさまざまなルールが定められており、Rの表記方法についてもその基準が存在します。
例えば、JIS B 0001「製図-製図一般」やJIS B 0401「寸法公差及びはめあい」といった規格において、Rの寸法記入方法や公差に関する規定が示されています。
これらの規格に則ることで、図面の読み手は正確にRの指示を理解し、製品を正しく製造・検査することが可能となります。
以下に、Rの表記例とその意味をまとめましたのでチェックしておきましょう。
| 表記例 | 意味 | 適用箇所例 |
|---|---|---|
| R5 | 半径5mmの円弧 | 製品の角、部品のエッジ |
| R20 | 半径20mmの円弧 | 大きな曲面、構造物の接続部 |
| R0.5 | 半径0.5mmの円弧 | 微細な面取り、精密部品のエッジ |
図面(R)はどんな指示?数値なしのRだけの場合
続いては図面(R)についてです。
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図面で(R)と表記されていた場合、半径の指示がない!と思ってしまいますよね。
この場合、【一般的注意事項製図における寸法記入方法(Z8317)】というものが適用されています。
半径の寸法が他に指示した寸法によって自然に決定するときは、半径の寸法線と半径の記号とで円弧であることを示し、寸法数値は記入しない。
つまり、半径の数値は、他の寸法表記で分かる為、指示を省略しています。
R指示の具体的な表記方法
図面におけるRの指示は、JIS(日本産業規格)などの製図規格に基づいて行われます。具体的な表記方法は以下のようになります。
寸法線と引き出し線による表記
最も一般的な方法は、Rの付く部分に寸法線を引くか、引き出し線を用いてRの記号と数値を記入する方法です。
例えば、「R5」と表記されていれば、半径5mmの丸みを意味します。
特に、Rの曲率中心が明らかな場合は、中心からRの円弧まで寸法線を引くこともあります。
共通Rの表記
図面内に多数のRがあり、それらがすべて同じ半径である場合、「共通R○○」や「R○○ ALL」といった形で一括して指示されることがあります。
これにより、個々のRに寸法を記入する手間を省き、図面を簡潔に保つことができます。
例えば、「共通R3(指示なき部分)」と記載されていれば、特にRの指示がない全ての角は半径3mmで丸める、という意味になります。
公差の指示
Rの寸法には、他の寸法と同様に公差が適用されることがあります。
通常は一般公差で対応しますが、特に精度が求められる場合は、±表記による寸法公差や、幾何公差(形状公差)で指示されることもあります。
例えば、「R5±0.2」のように表記され、Rの許容範囲が示されます。
R指示が適用される加工例
R指示は、様々な加工方法で実現されます。主な加工例は以下の通りです。
| 加工方法 | R指示の適用例 | 備考 |
|---|---|---|
| フライス加工 | 部品のコーナーR、ポケット部のR | エンドミルの径や形状によってRが決まります。 |
| 旋盤加工 | シャフトの段付き部分のR、穴の入り口のR | バイトの刃先Rによって加工されます。 |
| 板金加工 | 曲げ加工のR、抜き加工のR | 金型やパンチ・ダイのRによって成形されます。 |
| 樹脂成形(射出成形など) | 製品の角R、リブの根元R | 金型設計時にRが考慮されます。応力集中緩和に重要です。 |
| 鋳造・鍛造 | 製品全体の丸み、肉厚変化部のR | 材料の流れや製品の強度確保のためにRが不可欠です。 |
Rの寸法は、使用する工具や金型の形状、加工方法によって実現可能な範囲が異なります。
そのため、設計段階で加工性を考慮したR指示が重要となりますね。
図面表記RとΦとCの違い!使い分けと注意点
R、Φ、Cはそれぞれ異なる形状と寸法を指示しており、違いは以下のとおりです。
| 記号 | 名称 | 意味 | 主な用途 | 表記例 |
|---|---|---|---|---|
| R | 半径(Radius) | 円弧の半径寸法 | 角の丸め、曲面 | R5 |
| Φ | 直径(Diameter) | 円形、円筒形の直径寸法 | 丸穴、円柱 | Φ10 |
| C | 面取り(Chamfer) | 角を斜めに削り取る寸法 | 角の安全性向上、嵌合性向上 | C1 |
Φ(直径)の表記と意味

上記図解(図面)に示す通り、Φは「Diameter(ダイアメーター)」を表す記号で、円形や円筒形の「直径」を指示します。
丸い穴や円柱状の部品の寸法を示す際に用いられ、特に機械部品の設計図では頻繁に登場します。
Φの後に続く数値は、その円の直径寸法を表します。例えば、「Φ10」と表記されていれば、直径10mmの円または円筒であることを意味します。
主に、以下のような場面でΦが使われます。
- ボルトやシャフトを通す丸穴の寸法を指示する場合
- 円柱状の部品の外径や内径を指示する場合
- 旋盤加工などで作成される円筒部品の寸法を明確にする場合
Φは、円形断面を持つ部品の寸法を正確に伝えるための基本的な記号です。
C(面取り)の表記と意味
Cは「Chamfer(チャンファー)」の頭文字で、部品の角を斜めに削り取る「面取り」を指示する記号です。
鋭利な角を落として安全性を高めたり、部品の組み立てを容易にしたり、バリの発生を防ぐ目的で用いられます。
Cの後に続く数値は、面取りの寸法を表しますが、通常は「45度の面取り」を前提としています。
| 面取りの寸法×45°として記入 | ![]() |
| 面取りの記号C(chamferの頭文字)を用いる | ![]() |
例えば、「C2」と表記されていれば、角から2mmの距離で45度に面取りすることを意味します。
主に、以下のような場面でCが使われます。
- 部品の取り扱い時の怪我防止や安全性向上
- 他の部品との嵌め合いをスムーズにするため
- 塗装やメッキなどの表面処理の均一性を確保するため
図面CやCRについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
図面Rまとめ
ポイント
・図面におけるRは、丸みを帯びた形状や角の処理を示す「半径」の記号として使用される
・Rは、加工物の角を滑らかにする指示であり、製品の安全性や美観、機能性に大きく影響する
・Φ(ファイ)は円の「直径」を示し、穴や円柱のサイズを指示する際に用いられる
・Cは「面取り」を表し、角を斜めにカットする加工を指示する
これらの記号はそれぞれ異なる形状や加工を意味しており、図面を正確に読み解く上で、それぞれの違いを理解することが大切ですね!

